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「AFFAIR」
たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

出会いは波乱とともに 【7】

 ←出会いは波乱とともに 【6】 
「はい。今回のことで一番、ご気分を害されましたのはお嬢様でしょう。ですので、暫くお嬢様に近づくことを禁止させていただきました。しかし、ここまでしなければいけないとは……」

「竹原さん、そんなことして大丈夫なの?」


確かに拓実の行動で被害を被ったのは間違いない。だが、そこまでしなければいけないのだろうかという思いが亜紀の中に浮かんでくる。そのせいだろうか。どこか不安そうな表情を浮かべる彼女に、雅也は気にすることはないというような顔で応えていた。


「一向に問題ございません。お嬢様もお知りになったように、あの方は隙さえあれば仕事から逃げ出しかねない方ですからね。でも、これからはこのようなことも減っていくことでしょう」

「どうしてなの?」


雅也の言葉の意味が亜紀にはわからない。だからこそ、彼女は首を傾げて問いかける。そんな彼女に、雅也は楽しそうに種明かしをしていた。


「はい。これから仕事を放棄なさるようなことがあれば、今日と同じことを申し上げますからね。お嬢様に夢中な拓実様には、この言葉がなによりも効果がございます」

「それって人が聞いたら誤解しそうな発言じゃない? お兄ちゃんが私に夢中って」


雅弥が言いたいことは分からないでもない。それでも、そのことに素直に頷くことができない。そう思う亜紀は膨れたような顔でそう応えている。そんな彼女に雅弥はフッと柔らかい笑顔を浮かべていた。


「でも、真実でございましょう。それに、拓実様だけではございません。慎一様もお嬢様のことを大事になさっていますし、夢中になっていらっしゃいますよ」

「う~ん。そう言われるとそうかもしれない。ほんとにあの二人って過保護なんだから。でもね。それってなんだか複雑」

「あまり難しくお考えになる必要はございません。前にも申し上げたと思いますが、このお屋敷は慎一様の奥様が早くに亡くなられたことで女性がおられませんでしたから。それにお嬢様のお母様であられる美鈴様を本当に大事になさっておられましたからね」

「うん、その話は何度もきいた。たしかに私もここに来た記憶って微かだけどあるのよね。あ、前にも言ったけどバラのアーチってほんとにあるの?」

「はい、ございますよ。まだ花の時期には早いですが、もう少しすれば見事に花を咲かせます。その時はお嬢様をご案内させていただきますよ」

「本当? じゃあ、約束よ!」


雅弥の言葉に亜紀は思わずそう叫んでいる。その瞬間、彼がそれまでにみせたことのない柔らかい微笑を彼女に向けてくる。

思いもかけない事態に亜紀の胸が一気にドキドキしてしまっている。もっとも、それがどういう名前をつけられるものであるのか。そのことを今の彼女は分かってはいないようだった。



◇◆◇◆◇



そして、拓実が教室に乱入して亜紀を連れ去るという暴挙を成し遂げた次の日。

この日から本格的な新学期だということで期待とともに不安も溢れてくる。そんな気持ちを振り払うように頭をブンブンと振った亜紀の耳に可愛らしい声が聞こえてきていた。


「あの……一條さんよね。よかったら、一緒に教室に参りませんこと?」


その声に亜紀は上靴に伸ばしかけた手をピタリと止めている。そのままゆっくりと振り向いた先には彼女と同じ制服を着た女子生徒が立っているのだった。


「はい? 私と?」

「ええ。あ、名前を名乗っておりませんでしたわね。わたくし、一條さんと同じクラスの円城寺琴音(エンジョウジコトネ)と申します。突然ですけれども、よろしければお友だちになっていただきたいと思って、お声をおかけしたんですわ」


亜紀にそう話しかける相手はお人形という感じの可愛らしい雰囲気を漂わせている。真っ直ぐな黒髪を肩のところで切りそろえているあたり、市松人形を思わせる。

そして、今まで由紀子という仲良しの存在があった亜紀にすれば、こういう申し出は何よりのもの。琴音の言葉にすっかり嬉しくなった亜紀は、思いっきり彼女の手を握りしめていた。


「私こそ仲良くしてほしいわ。えっと、円城寺さん? 呼びにくいから、琴音ちゃんでもいい?」


亜紀の返事は琴音をビックリさせるものなのだろう。大きな黒い瞳をますます見開いて、じっと彼女の顔をみつめている。それでも、亜紀の言葉に悪意がないということは感じるのだろう。コクリと頷くと、ゆっくりと口を開いていた。


「え、ええ……よろしくてよ。それでしたら、わたくしも亜紀ちゃんでよろしいかしら?」

「当然。こんなにすぐ名前で呼んでくれる友だちができるなんて思ってもいなかったわ。これからよろしくね」

「ええ、わたくしも亜紀ちゃんのような方とお友だちになれて嬉しいですわ。きっと、これから楽しくなりますわね」


琴音の言葉に亜紀はますます嬉しそうな表情を浮かべている。しかし、今が始業時間前だということも思い出したのだろう。すっかり慌てた様子で琴音の手を握り直している。


「琴音ちゃん、後でゆっくり話さない? それより、まずは教室に行かないと」

「そうですわね。いくら、亜紀ちゃんが理事長の妹だからといって、遅刻が許されるはずございませんものね」


その言葉に一気に亜紀の表情が強張っていく。それを見た琴音は失言に気がついたのだろう。慌てたように言葉を続けていく。


「ご、ごめんなさい。お気を悪くさせてしまったのね。わたくしが考えなしだったわ。亜紀ちゃん、許してくださらないかしら」


そんな声に亜紀はふるふると首を振っている。そして、しっかりとした声で返事をしていた。


「大丈夫。これって仕方のないことだから。でも、あんまり話題にしてほしくないのよね。そのあたりのこと、分かってくれる?」


亜紀の声に琴音はコックリと頷いている。その姿に亜紀は安心したような表情を浮かべていた。


「だったらいいの。それより、教室の場所、わかる? 私、昨日が初めてだったし、どこがどこか分からないの」

「そうですわね。ではご案内いたしますわ。教室へはこちらから行けるんですのよ」


そう言いながら琴音は亜紀を教室へと案内している。そんな二人の背後からは始業開始間近のざわつきがきこえてくる。もっとも、そのことを今の亜紀は不安に思っていない。今の彼女は琴音と一緒にいればこれからの学校生活を安心して送ることかできる、と思っているからだった。





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