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「AFFAIR」
たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

出会いは波乱とともに 【1】

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その日は、まさしく入学日和といってもいいほどの好天だった。

穏やかな春の日差しの中、ヒラヒラと桜の花びらが舞い落ちる。柔らかくそよぐ風と日の光はこれからを祝福するように輝いている。

そんな希望に満ちた時であるはずなのに、今日の主役ともいうべき亜紀は、不安しか感じさせない表情でリムジンの後部座席に座っていた。

もっとも、彼女がそう思うのも当然かもしれない。なにしろ、それまでの彼女はごく普通の家庭で育ってきた女の子。今日の入学式も幼馴染の由紀子と志望校である上洛高校へと向かうはずだったのだ。


だというのに、である――


今の彼女は、白綾学園という有名なお金持ち学校の入学式に出席するために移動している。小・中・高のみならず幼稚園に大学、はては大学院までも併設しているというこの学園の規模は半端なものではない。

そのことを考えると居心地の悪さしか感じられないのだろう。大きくため息をついた亜紀は、自分の着ている制服をみつめていた。

白いVネックのジャンパースカートは膝を隠す長さ。中に着ているブラウスの襟元とカフスには綺麗な濃いブルーで細いラインがあしらわれている。

有名デザイナーが手掛けたという話のこの制服に、憧れの目を向けないはずがない。だが、彼女自身が着ることになるなど思ってもいなかったのだ。

とはいえ、この制服に不満などあるはずもない。どこからみてもお嬢様然とした姿を女の子なら間違いなく夢にみるだろう。それでも、彼女は友人である由紀子と一緒にセーラー服を着て、上洛に通いたいという思いも抱いていたのだ。

そんな思いがあるからだろう。今の彼女はリムジンの中でため息をつくことしかできない。そんな亜紀の様子に気が付いた雅弥が穏やかに声をかけてくる。


「お嬢様、どうかなさいましたか?」

「うん……本当に私なんかが白綾に入学してもいいのかな、って思ってしまって……」


今の言葉は亜紀の偽らざる本音。しかし、静かな車内に響くその声に、呆れたような響きだけが返ってきていた。


「何度も申し上げたことではありませんか。お嬢様が白綾に通われるのは当然であり、必然です。ですから、何も気になさる必要などないのです」

「竹原さんはそう言うけど……でもね。やっぱり、おこがましいとか思ってしまうわけ」

「お嬢様、謙遜は美徳ですが、それも度が過ぎると嫌味になります。お嬢様がそのようにおっしゃられると、他の方々は白綾での学生生活が送れなくなってしまいます」


ちょっと肩をすくめるようにして呟く亜紀。その彼女に『こんな簡単なことも分からないのか』というような調子で雅弥は言葉を紡いでいく。そんな彼の態度に、亜紀は拗ねたような口調で応えるだけ。


「そんなものなの?」

「そういうものです。まだ、一條家にいらして時間が経っていないので、お嬢様ご自身に実感がないことは理解いたします。しかし、一條家の方が白綾以外に通われるのは、異常事態です」

「でも、中学は公立の学校に通っていたわよ」


雅也の言葉に反発するように紡がれる声。もっとも、それに対して負けるような相手ではないのも確定なのだろうか。助手席に座っている雅弥はバックミラー越しに亜紀の顔を見つめながら、平然と言葉を続ける。


「それは、お嬢様が里見様の子供と認識されていたからです。しかし、今のお嬢様は一條の名を冠しておられます。となると、それに伴う義務と責任が生じてくるわけです。そのこともお分かりにならないのですか?」


一気にぶつかられてくる言葉は、彼にとっては至極当然といえることなのだろう。だが、亜紀にとってはそうであるはずがない。彼女はどこか投げやりな表情を浮かべながら、シートに身を沈めていた。

とはいえ、先ほど雅弥が口にした言葉は、一條家で暮らすようになってから頻繁に聞かされてきたこと。もっとも、そのことを亜紀自身は認めたくない。だが、そうしなければ生きていけない環境だということは徐々にではあっても理解している。そして、今から足を踏み入れようとしている場所がそういうところである、ということも。

それらのことを考えただけで、亜紀は気が滅入ってため息をつきたくなる。しかし、それから逃げることはできない。そのことも知っている彼女は大きく息を吐くと、雅也の言葉を遮っていた。


「竹原さん、分かりました。まあ、納得のいかない部分はあるけど、気にしすぎるのもよくないだろうし」

「お分かりいただけましたか? 間もなく、学園に到着いたします。本日は入学式と簡単なHRだけと伺っております。ですので、終わりましたらわたしに連絡をお願いいたします」


雅也の言葉に亜紀は「どうして?」というように首を傾げている。そんな彼女に、穏やかな声が重ねられていく。


「わたしの務めをお忘れですか? お嬢様をお迎えに上がるのは、当然のことではありませんか。ですので、連絡くださったあとは、校内でお待ちいただければと思います」


その言葉は亜紀にとっては、想定の範囲外としかいいようがないのだろう。どこかポカンとした表情でその言葉を耳にしている。だが、少しずつではあっても言葉の意味を理解した彼女は、引きつった表情を浮かべながら必死になって反論していた。


「迎えはいいわよ。歩いて帰れるんだし」

「そういうわけにはまいりません。お嬢様に何かがあっては大変ですから」


至極当然というような顔で告げられる言葉。だが、それを受け入れるということが亜紀にはできない。だからこそ、彼女は『過保護』とだけ口にする。

だが、雅也はそれを無視するかのように『何かおっしゃいましたか』と切り返す。その声に、このままではいけないと悟った亜紀の声が微妙に大きくなっていく。


「あのね。これが夕方になるなら分かるわよ。でも、今日は午前中に終わるの。分かる? ということは、明るいし人も多いの。だから、そんなに心配することなんてないと思うんだけど?」

「たしかにそうかもしれません。しかし、今までにも何度も申し上げました。人が多い時ほど危険も多いのです。ともかく、本日はお迎えに上がります。そうしないと旦那様のご機嫌が悪くなってしまいます」



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