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「AFFAIR」
たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

新しい生活へ 【7】

 ←新しい生活へ 【6】 →出会いは波乱とともに 【1】
彼の言葉に亜紀の記憶のどこかが刺激されている。そのままゆっくりと目の前にいる相手の顔をみつめた亜紀。その時、彼女はこの相手に会ったことがある、ということを思い出していた。


「えっと……名前は覚えてないですけど、会ったことありますよね? たしか、そこってバラのアーチがあったと思ったんだけど……」


亜紀のその声に相手はすっかり嬉しそうな顔になっている。そのまま彼は亜紀に抱きつきかねない勢いで近寄ってきた。


「覚えてくれていたんだね。あの時の亜紀ちゃんはまだ5歳だったから忘れていると思っていた。うん、亜紀ちゃんが言っているバラのアーチはうちの庭にまだあるよ」

「そうなんだ……」


告げられた言葉が記憶の片隅にある何かを刺激したのだろう。亜紀はぼんやりとした調子で呟いている。それに対して相手が何かを言おうとした時、拓実が悔しそうな調子で「父さんだけ?」と口にする。

もっとも、その発言はその場にいた誰もがさらりと無視。そして、雅弥は改めた調子で亜紀に相手の名前を告げていた。


「お嬢様、こちらが美鈴様のお兄様にあたられる慎一(シンイチ)様です。今回、お嬢様をこちらにお迎えするにあたって、様々なことを準備させていただきました。そのすべては、こちらの慎一様の指示によるものです」

「そ、そうなんだ……じゃあ、白綾の願書がうちに届けられたのも、書類が届いていないのに手続きが済んでいるっていうのも?」


新年早々から巻き込まれた騒動の主犯ともいえる相手が目の前にいる。そのことに気が付いた亜紀の声の調子はどこか冷たいもの。もっとも、それに対して慎一はニコニコと笑いながら応えている。


「うん、そうだよ。なんといっても、亜紀ちゃんは我が家の大事なお姫様だからね。もっとも、今の亜紀ちゃんにはそのことは理解できないだろうね。でも、一條っていう名前は半端に力があるんだよ。だから、ちゃんと守れるところにいてもらわないと心配でたまらないんだよ」

「その事情っていうのは説明してもらえるんですか?」


この事態が納得できるものであるはずがない。だが、どうやら目の前にいる相手は事情をよく知っているようにみえる。ならば、彼に説明してもらわないという選択肢はない。そう思う亜紀の言葉を慎一はため息をつきながらぶった切っている。


「説明ね。たしかにそれはしないといけないものだと思っている。でも、簡単なことじゃないんだ。大体のことは竹原から聞いてくれていると思う。そして、それ以上となると一言で説明できることじゃない」

「そんなにいろいろと複雑怪奇なんですか?」


慎一の言葉にうんざりしたような表情で亜紀が応えている。そんな彼女に慎一は優しい微笑を浮かべて話しかけてくる。


「複雑怪奇というより、いろいろとしがらみがあるっていう方が正しいかな? 亜紀ちゃんの母親は私の妹だった。そして、彼女がこの家から飛び出した理由も聞いてくれているだろう? そのあたりでちょっと話が複雑になっているんだよ」


慎一のそんな言葉に亜紀は頷くことしかできない。彼女自身の中ではまだ整理しきれていない部分が間違いなくあるが、育ててくれた両親が嘘や冗談を言う人ではないことをよく知っている。

だからだろう。彼女は慎一の言葉も疑おうとは思っていない。とはいっても、この相手が拓実の父親だということについては納得いかない。

いや、顔立ちが似ている二人に血のつながりがないと思っているわけではない。ただ、このように落ちついて話のできる相手の息子なのに、拓実から受けた第一印象があまりにも軽いように感じてしまったからだ。

そんな思いがはっきりと亜紀の顔には浮かんでいたのだろう。慎一がちょっとすまなそうな表情で言葉を続けている。


「その顔だと、拓実が困らせたみたいだね。でも、いつものあいつはもっと落ち着いているから。今回、亜紀ちゃんが来るっていうことは私も拓実も本当に楽しみにしていたんだよ。だから、それでちょっとばかり暴走してしまったんだろうね」

「暴走ですか。だったら、いいです。なんだか、いろいろありすぎて、疲れちゃいました。思ってもいなかった学校に行けって言われたりしたんですし」


この一言は亜紀にすれば精一杯の嫌味。だが、その言葉を慎一は真正面から受け止めるのか、彼女のことを心配するような表情を浮かべている。


「そうかもしれないね。とにかく、入学式までは時間があるから、のんびりしてくれればいい。その間に亜紀ちゃんが知りたいことを説明する時間もあるだろうし、いろいろと習い事の準備もできるからね。それに、亜紀ちゃんが覚えてくれていたバラのアーチ。あれももうちょっとしたら見頃になるよ。楽しみにしておいてくれるよね」


穏やかに語られる言葉は亜紀の中にゆっくりとしみ込んでいる。そんな中、彼女は拓実が口にしていた『養子縁組』という言葉の意味を聞かないといけないと思っていた。


「あの、一つだけいいですか?」

「なんだい?」

「さっき、拓実さんが『養子縁組』とか言ってたんですけど……それって、どういうことですか?」


その言葉を耳にした途端、慎一はキッと拓実を睨みつけている。父親の鋭い眼光に思わずたじろいでいる拓実だが、そんな彼を助ける存在がその場にいるはずもない。


「拓実、あまり先走ったことを喋るんじゃないよ。亜紀ちゃんが来て、嬉しいのはわかるけど、こういうことは突然知るべきことじゃない」

「はい……すみません……」

「ま、とにかく、知ってしまった以上、説明はしないといけないね。亜紀ちゃんには悪いと思うんだけど、君が16歳になった時、正式に私の養女になってほしい。というより、それも君が里見家で暮らす条件の一つだった。だから、納得できないとは思うけれども、了承してほしい」

「そんなこと言われても納得できません。それにお父さんやお母さんがそのことを承知するとは思えないし」

「そんなことないよ。伸吾君も夏実さんもこのことはちゃんと知っていたからね」


慎一の言葉に、亜紀には返す言葉がない。結局、この人たちの思うようにしかできないのか。そんな理不尽な思いを抱きながら、彼女は新しい生活に飛び込むしかないのだった。







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