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「AFFAIR」
たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

新しい生活へ 【6】

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この場ではこう返事をすることしかできない。そんなことを思っている亜紀は、ポツリとつぶやくと雅弥に導かれるようにして扉を開いていた。

そんな彼女の目の前に広がるのは、それまでの常識からはかけ離れた世界。ホールのように天井の高い場所は歩くと靴音が響いていく。そのことに居心地の悪さを感じる亜紀の前に、若い男性が姿をみせていた。


「亜紀ちゃん? 君が亜紀ちゃんだね? やっぱり、思ったとおり可愛らしい!」


そう言うなり、相手はムギュッとばかりに抱きついてくる。彼女にとってはこの相手は不審人物でしかない。となると、思いっきり引っ叩きたいというのが本音。

しかし、そんなことをするのがいい結果を招かないということを感じてもいるのだろう。なんとかその衝動を抑えている。それでも、理不尽だと思うことを止められないのは間違いない。彼女は金魚のように口をパクパクさせるだけ。


「拓実(タクミ)様、お嬢様を困らせるものではありませんよ」

「どうしてだよ。それより、僕が亜紀ちゃんを迎えに行くって言ってただろう? 忘れてたの?」


どう見ても亜紀より年上の男性が、子供のようなことを言っている。それに対して、雅弥が呆れたような声で応えていた。


「たしかに、そのようにおっしゃっておられましたね。しかし、拓実様がお嬢様や夏実様を説得できますか? そして、この場でハグをなさるのはいささか問題ではないでしょうか」

「そうですか。わかりましたよ。いつだって、雅弥の方が正しいんだからね。はいはい。よくわかりました」


その言葉と同時に、亜紀の体は相手の手から解放されている。それまでの酸素不足が一気に解消されたことで、彼女は思わずゼーハーと息をつくしかできない。そんな亜紀の様子が心配になったのだろう。雅弥が静かに問いかけてくる。


「お嬢様、大丈夫でしょうか? 誠に申し訳ありません。これからはこのようなことがないように注意いたしますので」

「雅弥、その言い方ってないだろう。ちゃんと紹介してくれないと亜紀ちゃんが誤解する」

「左様でございますか?」

「わかっていてやっているだろう。この確信犯」


二人は軽い調子でポンポンと言葉を投げ合っている。その姿を亜紀はぼんやりとみつめることしかできない。そんな中でも、彼女は相手が『雅弥』と名前で呼びかけてくる。

この二人の関係はどういったものなのだろう。そう思った亜紀の頭にはハテナマークしか浮かんでこない。そんな思いが顔に出ていたのだろう。相手はどこか楽しそうな表情で問いかけていた。


「僕のこと、知りたい? 亜紀ちゃんには特別に教えてあげようかな」

「拓実様、冗談はほどほどになさってください。お嬢様が困ってしまわれます」

「ホント、雅弥は堅苦しいからね。でもいいよ。君の好きなようにしてくれたら」


そう言うと、相手はどこか嫌そうな表情を浮かべている。それを目にした亜紀は不謹慎とは思いつつ、思わずクスリと笑みを浮かべていた。そんな彼女の姿に相手は明るい笑顔を向けてくる。


「やっと、笑ってくれた。亜紀ちゃんは笑っている方が可愛らしいからね」

「え、えっと……」


この相手のテンションにはついていけない。

それが今の亜紀の偽らざる本心。なにしろ、彼女は平凡が一番だと思っているのだから。

そして、こんな状態の相手はしたくない。とはいえ、この場にいるということは間違いなく親戚にあたるはず。それは分かっていても、関わりたくない。

亜紀のそんな思いが顔にはっきりと出ていたのだろう。雅弥が助け船を出すように声をかける。


「お嬢様。こちらの方は一條拓実(イチジョウタクミ)様と申されて、お嬢様のお従兄にあたられます」


そう言われても、亜紀はすぐに返事をすることができない。

なにしろ、初めて会った親戚だが、どうみても軽いテンションの相手だからだ。この事実にぼんやりとしてしまった亜紀の頬を拓実はチョンと突いてくる。


「ビックリした? あ、雅弥は従兄だっていったけど、僕としてはお兄ちゃんって思ってほしい。というより、亜紀ちゃんが16歳になったら正式に養子縁組するから、お兄ちゃんなんだよね」


そう言われて「はい、そうですか」と返事ができる適応能力が亜紀にあるはずがない。それどころか、彼女の頭の中では拓実が口にした『養子縁組』という言葉だけが踊っている。


「亜紀ちゃん、どうかした?」


彼女の様子がおかしいことに気がついたのだろう。拓実が心配そうな表情で声をかけてくる。

そんな彼の姿はブランド物のスーツを着こなした若い男。たしかに言動には突拍子のない部分がある。しかし、目鼻立ちにどこかキリッとした印象があるためか間違いなく目立つ。そんなことを亜紀は考えていた。

もっとも、見つめられていた本人がそんなことを思っているはずもない。それどころか、彼はグイッと亜紀の手を引くと、どこかに連れて行こうとしていた。


「ど、どこに行くんですか?」


突然、手を引かれたことに亜紀は驚いた声を上げることしかできない。そんな彼女に拓実はニッコリと笑いながら応えている。


「僕から説明してあげてもいいんだけど、やっぱりそれって僕の役目じゃないと思うしね。あ、雅弥。父さんは書斎にいたよね?」

「はい、いらっしゃると思います。しかし、私が旦那様の居場所を把握していると? 私は先ほどまでお嬢様をお迎えするために屋敷を留守にしておりました。だというのに、そのようにおっしゃいますか?」

「たしかにそうだけどね。でも、雅弥なら分かってるんじゃないかって。だから、深く考えることってないよ」


そう言いながら拓実は亜紀の手を握ったまま、鉄砲玉のように走り始めている。そのまま一気に廊下を駆け抜けた彼は、一つの扉の前で軽くノックをしていた。


「父さん、いるんでしょう?」


返事を聞かずに拓実は部屋の扉を開けている。その先には、彼が年をとればこんな感じになるんだろうか、と思わせる人物が佇んでいる。その相手は亜紀の顔を見るなり、先ほどの拓実と同じように満面の笑みを浮かべていた。


「亜紀ちゃんだね。うん、美鈴にそっくりだ。大きくなったね。私が知っている君は、まだほんの子供だったけど」



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