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「AFFAIR」
たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

突然の招待状 【4】

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かつてのことを話しているうちに、だんだんと腹が立ってきたのだろう。夏実の口調は厳しいものになってきている。それを聞いている亜紀は、彼女自身のことを話されているにも関わらず、どこかぼんやりとした表情を浮かべるだけ。

そんな二人の姿に気が付いたのだろう。伸吾がゆっくりとした口調で声をかけてきた。


「亜紀にすれば信じられないし、馬鹿な事だって言いたいんだろうね。お父さんたちだってそうだから。でも、分かってほしい。美鈴さんと親戚の人の間で成立した約束は、16歳になった亜紀が一條家に行くこと」

「そんな……じゃあ、私の気持ちってどうなるのよ」


これは素直に頷けることではない。そう思う亜紀がどこか必死な調子で訴えかける。だが、そんな彼女の言葉を伸吾は静かに否定するだけ。


「亜紀が言いたいことは分かる。そして、美鈴さんの本意は亜紀が僕たちと一緒に暮らすことだった。でも、彼女の親戚は強引でね。この条件を受け入れないと、僕たちを誘拐犯に仕立て上げない勢いだった」

「そんなことってできるの?」


伸吾の言葉を信じることができない亜紀がポツリと呟いている。その声を受けるように、夏実が言葉を続けていく。


「できる人たちなのよ。だから、美鈴はあなたを私たちに預けたがった。でも、やっぱり無理だったのね。ついに約束の日がきてしまったの……」


悲しそうな口調で告げる夏実の言葉に、亜紀は頭をハンマーで殴られたような思いを抱くことしかできない。

人のことを何だと思っているのだ。

それが彼女の思った一番のことだっただろう。そして、その延長線上に、彼女自身のことを勝手に動かそうとしている意図があることも分かる。

こんなことが許せるはずもない。今の亜紀は、この事実にたとえようもないほどの憤懣(フンマン)だけを感じていた。


「分かったわよ。そんなに好き勝手にしたいんなら、こっちにも考えがあるわ」

「亜紀、どうしたの?」


亜紀の様子が先ほどまでとは違う。そう思った夏実が恐る恐る訊ねている。それに対して、亜紀はハッキリとした口調で応えていた。


「うん。お父さんたちを困らせたくないから、白綾を受験はする。私だって、有名な金持ち学校だし、一度は中に入ってみたいと思ってたから。でも、合格する気なんてさらさらないから。絶対に落ちてやる」

「亜紀、何もそこまで言わなくても」

「お父さんは黙っていて。私、今までお父さんとお母さんの娘で幸せだった。このままずっと一緒にいたいって思ってる。それなのに、急に親戚だっていう顔をする人のことが許せないの。高校浪人することになるけど、ゴメン」


一気にまくしたてた亜紀の顔は真っ赤になっている。そんな彼女の姿をみた伸吾と夏実にも、ようやく明るい色が戻ろうとしていた。二人は顔を見合わせると、亜紀の爆弾発言に微笑を浮かべている。


「亜紀には負けたわ。そうよね。最初から諦める方がいけないんだわ。うん、高校浪人がなによ。それに、今まで連絡もなかったような人たちに亜紀を渡すつもりなんてこれっぽちもないから」


夏実のその言葉は、亜紀にとってなによりのもの。だからこそ、彼女は「お母さん、ありがとう!」と叫びながら抱きついていく。そんな彼女の髪をそっと撫でながら、夏実は言葉を続けている。


「あたりまえじゃない。亜紀は大事な娘なんだから。それから、二次で受け入れてくれる学校だって山ほどあるんだからね。浪人確定じゃないんだから、しっかり頑張りなさい」

「夏実、切り替えが早すぎる。でも、亜紀の言うことにも一理あるよね。僕たちは囚われすぎていたのかもしれない。それに、亜紀が言えばなんだか可能になるような気がする」

「そうでしょう? あ、あなた。亜紀が私立に行くって言った時に、授業料払えない、なんて言わせないわよ」


そこで繰り広げられているのは、間違いなく今までと同じ光景。しかし、その根底にあるものが違ってきている。そのことも亜紀は敏感に感じ取っていた。


それでも、こうやって両親と笑いながら過ごす時間が欲しい。そう思っている亜紀は、見ず知らずの他人に流されるようなことはするまいと決めているのだった。



◇◆◇◆◇



そして、三学期の始業式の日。亜紀は担任に志望校を告げるために職員室へと足を向けていた。


「失礼します。3年2組の里見です。浦野先生、いらっしゃいますか?」

「お、里見。こっち、こっち」


亜紀に気が付いた教師が手をヒラヒラと振っている。この相手、少々ノリが軽いがそのせいもあって話しやすいタイプ。だからだろう。亜紀もちょこちょこと担任教師のそばに近寄っていた。


「先生、新年あけましておめでとうございます」

「はい、おめでとうさん。で、志望校は決まったのかい?」

「あ、はい。えっと……白綾学園で、お願いします」


亜紀がそう告げた途端、浦野は呆然とした表情を浮かべている。彼は咥えていたタバコが落ちるのも気が付かない様子で、亜紀の顔をマジマジとみつめていた。


「里見、それって冗談か?」

「やっぱり、冗談に聞こえますよね。でも、本気です。一応、願書も用意してます」

「いや、ちょっと待てよ。あの白綾だろう? 普通じゃ考えられない!」


亜紀の言葉が信じられない浦野は焦ったような声を出している。それに対して、亜紀は淡々とした調子で応えるだけ。


「私もそう思います。でも、家に書類が送られてきたんです」

「は? 送られてきた? 一体、お前って何者よ。ま、いいわ。それならあっちに問い合わせができるな。ちょっと待っておけ」


そう告げるなり、浦野は手近にあった電話を取ると、ためらいなく番号をプッシュする。

やがて出てきた相手と一言二言話した彼は、信じられないというような表情で亜紀の顔をじっとみつめていた。


「もう一度きくけど、お前って何者?」

「意味が分かりません。私はただの里見亜紀です」

「だよな~。ま、あそこは1クラス分だけ高校で追加受け入れがあるから。でもな、だからといって家まで願書送りつけるなんてきいたこともない。こんなこと、普通じゃ考えられんよ。だから、きいてる。お前って何者?」


あまりにも何度も繰り返される問いかけに、亜紀は軽い苛立ちを覚えている。願書が送りつけられてきた理由は認めたくないが分かっている。だが、そのことを浦野に話すのには抵抗がある。だからこそ、彼女は呆れたような口調で切り返すことしかできない。


「そんなに何度も言わなくてもいいですよ。でも、私は普通だし、何者っていわれる理由なんてありません。それより、願書に不備はありませんか?」



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