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「AFFAIR」
たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

突然の招待状 【3】

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目の前にある願書がどこの学校のものかということに気が付いた亜紀が驚いたような声を上げている。しかし、それも当然のことだろう。なにしろ、白綾学園はお金持ち学校として有名なのだから。

こんな学校、受験できるはずがない。そんな思いが亜紀の表情からは簡単に読み取れる。そんな娘を見ながら、伸吾はゆっくりと話と続けていた。


「亜紀が疑問に思うのは当然だよね。でも、これがここにあるっていうことは、亜紀はこの学校を受験するっていう選択肢しかないんだ」

「その理由が分からない。ちゃんと分かるように説明してよ。どうして、白綾みたいなお金持ち学校を受けるしか選択肢がないっていうの?」


父親の話の意味が分からない亜紀はそう叫ぶことしかできない。そんな彼女の声に、伸吾はどこか辛そうな表情で話し続ける。


「お前の言うことはよく分かる。そして、それが正論だっていうこともお父さんにはちゃんと分かっている。でも、それだけではやっていけないこともある。このことは、高校生になる亜紀にはちゃんと分かることだろう?」

「分からない。だって、うちが白綾学園に通えるほどお金があるなんて思ってないもの。あ、だからってお父さんが薄給だって言ってるんじゃないわよ。そこは分かってくれるわよね」


父親を貶して(ケナシテ)いるようなことを言っていると思ったのだろう。亜紀が慌てたような調子で言葉を紡ぐ。そんな娘の姿を伸吾も夏実も愛おしそうな目でみつめるだけ。両親のそんな表情に気が付いた亜紀は、不思議そうな顔で訊ねていた。


「お父さんもお母さんもちょっと変……何かあったの?」

「うん……今から大事なこと話すから。よく、聞いてくれるよね」

「学校のことだけじゃなくて?」

「そう。もちろん、学校のこともそれに関係してくるんだけどね。ただ、簡単にすむ話じゃないから、話しやすいことから始めたんだ」


伸吾の言葉に何か嫌なものを感じたのだろう。亜紀の顔がクシャリと歪められる。目の前にあるコーヒーは手を付けることもなくすっかり冷めているが、そんなことも気にしないのか、亜紀は一気に飲み干していた。


「言いたいことがあれば言ってよ。そんな奥歯に物が挟まったような言い方される方が気色悪い」


今の空気はどうにも居心地が悪い。そう思う亜紀は、反抗するような口調で父親に言葉をぶつけている。そんな彼女に伸吾も腹をくくったように話しかけていた。


「そうだね。亜紀の言うことの方がもっともだ。お父さんだって、あんな言い方をされたら気色が悪い。じゃあ、話すよ。亜紀はお父さんとお母さんの本当の娘じゃないって知っていたよね」

「うん……知ってた……でも、それとこれとが関係あるの?」


伸吾の言葉に、亜紀は顔を下に俯けながら応えている。そんな彼女に、伸吾は言葉を選ぶようにして声をかけてくる。


「関係、あるんだよね。実は今回、白綾学園を受けるようにって言ってきているのは、亜紀の本当のお母さんの親戚なんだよ」

「今まで私のこと、お父さんたちに預けっぱなしにしていたのに? そんなのおかしいじゃない」


父親の言葉はどうしても納得できない。そう思う亜紀は声を荒げて言葉をぶつけていく。そんな彼女に、今度は夏実がゆっくりと声をかけていた。


「亜紀が怒るのは分かるわ。そうよね。親戚がいれば、普通はそちらに引き取られるって思うものね。でも、これには事情があるの。今からその話をするけど、きいてくる?」


夏実のその言葉に、亜紀は返事をしようとはしない。それは、何もかも拒絶するかのような姿。そんな彼女の反応に、夏実はため息をこぼすが、話をやめるつもりはないようだった。


「亜紀の本当のお母さんは一條美鈴(イチジョウミスズ)っていうの。彼女は俗にいわれるお嬢様っていう人だったけど、大学で知り合って、仲良くしていたわ」

「そうなんだ……」

「ええ。で、彼女は大学を卒業すると同時に、親が反対する相手と駆け落ち同然に結婚したの。たしかに、そのことで悩んでいる部分もあったわ。でも、あなたという娘も産まれて、三人で幸せに暮らしていた。それなのに、あの二人ったら……」


かつてのことを思い出したのか、夏実がむせび泣くような声を出す。そんな彼女の背中を伸吾は優しく撫でることしかできない。やがて、鼻をすすりあげるような音を出しながらも、夏実は話を続けていた。


「でも、あなたが5歳になった頃だったわ。美鈴の親が突然、会ってもいいって言い出したの。もちろん、その時は亜紀も連れてくるように言われていたらしいわ。でも、美鈴はあなたを私たちに預けたの。そして……」

「何か、あったの?」


夏実の声が話の途中で途切れてしまっている。そのことに気が付いた亜紀は、いつもみている夢のことを思い出していた。あの夢には間違いなく自分が出ている。そして、ちょうど5歳くらいではないだろうか。

その夢の中で亜紀は黒い服を着て泣きじゃくっている。これは何を意味するのだろうか?

不思議とその頃のことはあまり覚えていない。だが、夢が真実だとしたら、黒い服を着ている理由など一つしかないではないか。そう思う亜紀の耳に、夏実の声が響く。


「亜紀は10年ほど前にあった列車の脱線事故のことを知っているかしら。その事故車両に、あなたの本当の両親も乗っていた。あの事故は本当に悲惨で、死傷者もたくさん出たの」

「じゃあ、私の本当の両親も? いつもの夢で、私が黒いワンピースを着て泣いているのはそのせいなの?」


亜紀のその声に、夏実はハッとしたような表情になっている。そのまま泣きそうな表情を浮かべた彼女は、震える声で話し続ける。


「ええ。美鈴は重体で病院に運ばれたんだけど、旦那様は即死だった。そして、美鈴は最期の息で亜紀を私たちに預けるって言ったの」

「そ、そんなこと……」


夏実の話は亜紀にとってはにわかには信じがたいもの。思わず『嘘だ』と叫びたくなるのが本音だろう。だが、いつもみる夢に不思議とシンクロする部分がある。

そのことに気が付いた亜紀は黙り込むことしかできない。そんな彼女に、夏実はゆっくりと言葉をかけ続けている。


「本当は美鈴の親戚があなたを引き取るのが筋だったと思う。うん、誰だってそう思うわ。でも、その時に美鈴のお兄さんが妹の最期の願いだからって言ってくれたの」

「そんなこと……できるの?」

「こういう時って遺言は強いわよね。でも、親戚の人は猛反対したわ。でも、それって腹が立つと思わない? その人たちが美鈴の結婚を反対してたの。それなのに、彼女がいなくなったとたんに、子供の亜紀は欲しがるんだから」



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