「FABLE」
Short
二人でお茶を
「テレーゼ、お茶でも飲まない?」
自分に声をかけてきた相手。その顔をみたテレーゼは思わず目を丸くしていた。
「私とお茶を飲むのは嫌かしら?」
いつまでもテレーゼからの返事がない。そのことに、ちょっと不満げな声。それを聞いた彼女は、慌てて首をふっていた。
「そんなことありません。でも、そんなお時間ありますの?」
「大丈夫。あなたは気にしないでいいの」
相手の声にテレーゼはようやく安心したようだった。ちょっと肩をすくめながら、彼女はお茶の誘いにのっている。
「母様がそうおっしゃるのなら」
テレーゼの返事に今度は相手が満足げな表情を浮かべていた。
彼女は白魔導師の一族であるリンドベルグの長、ゾフィー。いつもであれば、長という顔をしている彼女。その表情が普段と違うことにテレーゼは敏感に気がついていた。
今なら前から知りたいと思っていたことをきける。そう思ったテレーゼは、お茶を飲みながら思い切って、口をきっていた。
「母様、前からおききしたかったのですが」
「何かしら」
お茶のカップに口をつけながら、ゾフィーはテレーゼの顔をみている。そのテレーゼは、正面から母親の顔をみつめていた。
「どうして、母様が長になられましたの?」
「簡単だわ」
テレーゼの問いかけにそんなこと、という顔をしているゾフィー。そんな彼女にテレーゼは再度、問いかけていた。
「前から不思議でしたもの。いつの間にか父様はいなくなる。気がついたら母様が長になっている」
「仕方がないわよ。あのバカッタレが帰ってこないんですもの」
「か、母様?」
誰のことをバカッタレと言っているのだろう。不思議そうな顔のテレーゼに、ゾフィーはため息をつきながらこたえていた。
「あの人も何を思ったのか、世界の果てをみたいって。おかげで残されたこっちはやりたくもない長の椅子に座らされたわ」
ゾフィーの言葉に聞くんじゃなかったという顔のテレーゼ。しかし、口にしたことで気が軽くなったのだろう。ゾフィーの表情はどこか晴れやかなものともいえるのだった。
~Fin~
自分に声をかけてきた相手。その顔をみたテレーゼは思わず目を丸くしていた。
「私とお茶を飲むのは嫌かしら?」
いつまでもテレーゼからの返事がない。そのことに、ちょっと不満げな声。それを聞いた彼女は、慌てて首をふっていた。
「そんなことありません。でも、そんなお時間ありますの?」
「大丈夫。あなたは気にしないでいいの」
相手の声にテレーゼはようやく安心したようだった。ちょっと肩をすくめながら、彼女はお茶の誘いにのっている。
「母様がそうおっしゃるのなら」
テレーゼの返事に今度は相手が満足げな表情を浮かべていた。
彼女は白魔導師の一族であるリンドベルグの長、ゾフィー。いつもであれば、長という顔をしている彼女。その表情が普段と違うことにテレーゼは敏感に気がついていた。
今なら前から知りたいと思っていたことをきける。そう思ったテレーゼは、お茶を飲みながら思い切って、口をきっていた。
「母様、前からおききしたかったのですが」
「何かしら」
お茶のカップに口をつけながら、ゾフィーはテレーゼの顔をみている。そのテレーゼは、正面から母親の顔をみつめていた。
「どうして、母様が長になられましたの?」
「簡単だわ」
テレーゼの問いかけにそんなこと、という顔をしているゾフィー。そんな彼女にテレーゼは再度、問いかけていた。
「前から不思議でしたもの。いつの間にか父様はいなくなる。気がついたら母様が長になっている」
「仕方がないわよ。あのバカッタレが帰ってこないんですもの」
「か、母様?」
誰のことをバカッタレと言っているのだろう。不思議そうな顔のテレーゼに、ゾフィーはため息をつきながらこたえていた。
「あの人も何を思ったのか、世界の果てをみたいって。おかげで残されたこっちはやりたくもない長の椅子に座らされたわ」
ゾフィーの言葉に聞くんじゃなかったという顔のテレーゼ。しかし、口にしたことで気が軽くなったのだろう。ゾフィーの表情はどこか晴れやかなものともいえるのだった。
~Fin~
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