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「FABLE」
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若旦那の日常 【2】

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もっとも、そう言われたからといって引き下がるレックスではない。彼は持ってきた書類をセシリアに突き出すと、彼が危惧していることを滔々とまくしたてていた。


「そうはおっしゃられますが、示しというものがございます。妃殿下は妃殿下であり、それ以外ではございません」

「宰相様、たしかに表では私も辛抱します。しかし、奥は私の好きにさせてもらいます。どこにいっても妃殿下では、息が詰まります」


レックスの迫力にセシリアも負けてはいない。丁丁発止と言い合う二人の姿を侍女たちは固唾をのんで見守っていた。

セシリアという人物は、王太子妃となるまでは彼の妹であるアルディスの話相手と守役。そうである以上、『妃殿下』と呼ばれるのは背筋が寒くなる。しかし、そんな我儘を宰相であるレックスが許すはずもなかった。


「今までは侯爵令嬢として宮中におられました。しかし、今では王太子妃。ゆくゆくは王妃陛下にあらされるという自覚を……」

「わかったから。で、何を持っているの」


この調子では延々とレックスの愚痴を聞かされる、とセシリアは直感していた。年寄りは敬うべきではあるが、くどくどと同じことを繰り返す。それはできうることならば遠慮したいこと。その時、彼が持っていたものに気がついたセシリアは話題を変えるためにそちらに水を向けたのだった。

しかし、それはセシリアにとっては新たな災厄の始まり。レックスは嬉々とした表情で、セシリアに書類をつきつけていた。


「これに気がついてくださるとはさすが、妃殿下でございます」


セシリアがそう呼ばれることを嫌っているのを知っていながら、レックスはそう呼び続ける。それに対して柳眉を逆立てても効果はないようだった。ゲンナリした様子でセシリアはレックスが何を言うのかじっと待っている。


「宰相様、それは何ですの」

「これはアルフリート様に目を通していただく必要のある書類でございます」


それを聞いたとたん、セシリアの肩がガクッと落ちていた。彼女とて、国王夫妻が巡幸で王宮を留守にしていることは知っている。その代行が夫であるアルフリートなのは間違いない。しかし、彼が素直にそれをするとは思えない、というのも彼女の思いだった。


「つまり、これをアルフリート様に見せて、決裁の印をもらえと?」

「作用でございます。よろしくお願いいたします」


セシリアに書類を渡せたことで意気揚々としているレックス。しかし、当の彼女はますます不機嫌な顔になっているのだった。


「で、いつまでにもらえばいいの?」


ウンザリという表情を浮かべていても、やらなければいけないことだということはわかっている。そんなセシリアにレックスは肩の荷がおりた、というような晴れやかな表情で答えていた。


「早急にお願いいたします。まだまだ、書類はございます。これは、その中でも特に急を要するもの」

「わかりました。でも、それならば私ではなくアルディス様にお願いした方が早いのでは?」


セシリアは最後の望みとばかりにそう言っていた。その理由も簡単。なんといっても、彼は筋金入りのシスコンとまでいわれていた相手。しかし、そんなセシリアの期待もレックスはあっさりと切り捨てているのだった。


「今では妃殿下のお言葉がなによりも効き目があります。ええ、妃殿下が一言おっしゃれば間違いなしに」

「恨むわよ……」


ウキウキという顔のレックスの様子。そして、それを聞いていた侍女たちも期待に満ちたような目をしている。それに気がついたセシリアはレックスから書類をひったくると、侍女たちにもしっかりと釘をさしているのだった。


「ついて来るなんてことは許さないわよ。ついて来たりしたら、後で怖いわよ」


そう言って、侍女たちをねめつけているセシリア。その様子に侍女たちはせっかくの楽しみが、といわんばかりの表情を浮かべている。それでも、セシリアの言葉は彼女たちには絶対である。侍女たちはそれぞれに仕事に戻っているのだった。


「ふう……」


侍女たちがそれぞれの仕事に戻ったことで、遠慮がなくなったのだろう。セシリアは大きくため息をつきながら、レックスをみていた。


「仕方がないから、今日はもらってくるわ。でも、今度はなくてよ。それと、奥では妃殿下とは呼ばないように」


そう言い捨てたセシリアは、ドレスの裾をサヤサヤといわせながら宮殿の中を歩いている。王太子妃である彼女の姿に人々はそれぞれの地位や身分に応じた礼をとっている。それに息の詰まるような思いを感じているセシリアだが、今はそんなことに気をとられる余裕はない。彼女は一直線にある場所へと向かっているのだった。


「アルフリート様」


彼女の部屋とよく似たサンルーム。そこでボンヤリとした表情を浮かべていた相手。その相手はセシリアの声をきくなり、一気に明るい表情になっていた。


「セシリア! 今日も綺麗だね。それよりも、どうしたんだい?」


喜色満面のその表情。ウキウキとした様子でその相手はセシリアに近寄っている。そう、この相手がアルフリート。彼はセシリアの手を握ると自分の膝の上に座らせているのだった。


「どうかした? 何か困ったことでも? 僕にできることなら、なんでもするよ」

「本当ですの?」


膝の上に座らされているセシリア。その視線は甘えるような上目遣いにみえなくもない。それがわかっている彼女は、それを最大限に有効に使うことにしたようだった。

レックスから強引に持たされた書類を胸元に隠したセシリア。彼女はその細い腕をアルフリートの首にからめると甘えたように囁いている。


「一つ、お願いがあるの」


今までのセシリアならば、考えもしていなかった行動。しかし、彼女は結婚してからの日々で、こうするのが一番アルフリートに効果があることを知っている。自分で自分のやっていることにウンザリしてはいても、背に腹はかえられないのだ。セシリアはここぞとばかりに甘えている。


「一つなんて言わないでいいんだよ。なんだって、きいてあげるから」


結婚する前のセシリアからは考えられない行動。そのことをおかしく思う心理はアルフリートには働いていない。彼にすれば、セシリアが自分にしなだれるようにしてくれるのが嬉しくて仕方がない。


「何をしてほしいの? 焦らさないで教えてほしいな」


アルフリートのその声に、セシリアはしてやったりという顔をしている。彼女はここで疑われてはいけないとばかりに、ますます彼にすり寄っていた。


「簡単ですのよ。アルフリート様のサインがいただきたいんですの」


ニッコリ笑いながら、胸元に隠した書類を出すセシリア。それを見たアルフリートは顔色を悪くしている。


「今すぐじゃないとダメかな?」


この分だと夜まで書類と格闘しなければいけないのがわかっているのだろう。アルフリートの表情は浮かないものになっている。しかし、セシリアはそれを無視するかのように彼に迫っている。


「なんでもするっておっしゃったのに? 嘘でしたの?」


セシリアは今にも泣き出しそうになっている。彼女にべた惚れ状態のアルフリートがそれに逆らえるはずもない。

結局、彼は今まで放置していた書類の山と格闘するしかないのだった。それをみたレックスがどう思ったのか。それは言うまでもないことだろう。



~Fin~







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