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「FABLE」
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若旦那の日常 【1】

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華やかなことで知られるグローリア。

その国が、前にもまして華やかで賑やかな時を迎えようとしていた。

その理由とは簡単なこと。

先日、王太子であるアルフリートがハートヴィル侯爵令嬢であるセシリアを正妃として迎え入れた。そして、妹姫であるアルディスも婚約者との華燭の典が目前に迫っている。華やかにならない方がおかしいといえるだろう。

そんな中。周囲にドヨンとした空気をまき散らしている人物が一人だけいるのだった。


「宰相様、これはどちらにおいておきましょうか」


遠慮がちに叩かれる扉とともに聞こえてくる声。それを耳にした時、グローリア王国宰相であるレックスは、大きくため息をついているのだった。


「聞くまでもないだろう。その隅にでもおいておけ」

「しかし、今にも崩れそうなのですが……」


レックスの声に今にも泣き出しそうな文官の声がかぶさっている。それもそうだろう。彼が示した先は、すでに堆く書類が積み上げられている。そこに、これ以上のものを積み上げれば、ガラガラと雪崩のように崩壊するのは間違いない。

それがわかっているために、おくという行為を躊躇している文官。しかし、レックスはそれを気にする様子もないようだった。


「とにかく、おいておけと言っているだろう。儂は頭が痛い。しばらく、誰も来るな!」


レックスの怒鳴り声にビクッとしたようになった相手。彼は持っていたものをその場におくと、そそくさと消え去っていた。それを横目で見送ったレックスは、こめかみを揉みながらため息をついていた。


「まったく……これをどうしろとおっしゃるのやら……」


堆く積み上げられた書類は、ちょっとした山のようになっている。チョンチョンとつつけば、その場で雪崩をおこすのは明白なことだろう。

さすがに、そうなっては収拾がつかない。本当ならば、ストレス発散のためにつつきたい気分ではある。だが、それをして後で困るのが自分だということもレックスにはわかっている。

彼はギリギリの線で理性を保っている自分を思わず褒めているのだった。


「エラい。エラいぞ、儂は。うむ、このような状態に耐えられるのは、儂くらいだというものだ。陛下もよくわかっておられる」


そう呟いていた彼ではある。しかし、部屋の隅の小山をみた時、彼の中で何かが切れたような思いがしていた。


「しかし、陛下もお人が悪い。こうなるのがわかっていれば、無理やりにでも一緒に行けばよかった……」


そう呟くと思わずレックスは泣き崩れている。そう。本来であれば、このように書類が洪水のようになることなどない。グローリア宮廷でこのようなことがあるなど考えることもできなかったのだ。

なぜなら、現国王は仕事熱心な臣下孝行の王である。そうだというのに、この状態。その理由は、国王夫妻が国内巡幸という名目の旅行を楽しんでいるからだった。


「まったく……どうして、陛下も今回に限って、一月も都をあけられるのか……おまけに、書類は送ってくるなと言われてしまうし」


レックスは、すっかり泣きたい気分になっていた。たしかに今までも国王夫妻の巡幸というものはあった。しかし、それは数日間という短いもの。そして、たとえ巡幸中であっても重要なことは早馬で連絡する、という約束が主従の間では交わされていたのだ。

しかし、今回の巡幸にあたり、国王からは「早馬はよこすな」という厳命が下っていたのだ。そして、期間はというと今までからみると格段に長い一月。

この一月をどうやって乗り切ればいいのだろう。レックスを筆頭とする文官たちは、頭をかかえているのだった。


「陛下。恨みますぞ……」


思わず、そう愚痴をもらしてみても、応えてくれる相手がいるわけではない。そして、小山のような書類が片付いていくはずもない。


「こうなったら、お願いするしかないか」


大きくため息をついているレックス。このままでは、この部屋が書類で埋め尽くされる日も遠くはない。そして、そうなったらグローリアの政が機能しなくなるのも目にみえている。


「これで効果がなかったら、儂は宰相のお役を返上させていただこう。そうしないと、身が保たない」


ブツブツ呟きながらレックスは宮殿の中を歩いていた。手にしっかりと握られているのは、一番急を要する書類。

そして、レックスは宮殿の奥へと入っていた。そこはそれまで彼のいた部屋とは心なしか雰囲気が違っている。どことなく華やいだ雰囲気と女たちのさんざめく声が聞こえてくる。

それも当たり前といえるだろう。ここは宮殿の奥、と称される場所。つまり、王妃や王女の暮らす場所である。そんな華やいだ空気の流れるある一画でレックスはピタリと足を止めていた。そして、案内を請うように扉を叩いているのだった。


「宰相様、どうなさいましたか」


レックスが叩いた扉をあけたのは、まだ年若い侍女。彼女は宰相である彼がいることに驚いた表情を浮かべていた。


「妃殿下にお目にかかりたいのだが、いらっしゃるだろうか」

「セシ……いえ、妃殿下でございますか? 少々、お待ちくださいませ」


そう告げるとあたふたと奥へと入っていく侍女。その彼女が最初に口にした『セシ』という一言にレックスはまた、ため息をついているのだった。


「妃殿下にもご注意せねばならぬな。まあ、お気持ちはわからないでもないが、示しというものがある」

「お待たせいたしました。妃殿下はお目にかかられるとのことでございます」


レックスが自分の思いにひたっている間に戻ってきたのだろう。侍女のその声にレックスは我に返ったようだった。もう一度、持っている書類をたしかめ、咳払いをすると部屋の中に入っている。


「妃殿下、おくつろぎのところ申し訳ありません」


レックスが通されたのは大きな窓からさんさんと光がはいるサンルームだった。そこで何人かの侍女に髪を梳られている相手。

栗色の髪は日の光を浴びて輝き、榛色の瞳は穏やかな色を浮かべている。しかし、ここまで侍女たちに弄られまくることに辟易したような表情も浮かんでいるようだった。


「妃殿下?」


自分の声が聞こえなかったのかとレックスは不安になっていた。思わず、声をかけ直した時、相手が自分を不機嫌そうな表情でみていることに気がついていた。


「妃、妃殿下……」


何か機嫌を悪くさせることを言っただろうかと焦りまくっているレックス。実は、彼の連呼する『妃殿下』という言葉が相手の機嫌を悪くさせている。だが、彼はそのことに気付くことなく、ますます相手は不機嫌になっている。


「いたっ」

「セシリア様、申し訳ありません。気をつけますので、お許しください」


髪を結い上げていたうちにピンが当たったのか。痛そうな表情を浮かべているのに、侍女が慌てて謝罪している。


「いいのよ、私が悪かったのだし。それよりも、妃殿下はやめて、と言わなかったかしら?」


自分に謝る侍女には穏やかに対応していたが、レックスには厳しい声をかけている相手。彼女が先日、王太子であるアルフリートの妃となったセシリアだった。



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