スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←Epithalamium 【1】 →若旦那の日常 【1】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png MAP
もくじ  3kaku_s_L.png CRYSTAL
総もくじ  3kaku_s_L.png FABLE
もくじ  3kaku_s_L.png FATE
総もくじ  3kaku_s_L.png DIVA
総もくじ  3kaku_s_L.png AFFAIR
もくじ  3kaku_s_L.png Kingdom
もくじ  3kaku_s_L.png 泡沫の虹
総もくじ  3kaku_s_L.png Sketch
もくじ  3kaku_s_L.png Odai
  • 【Epithalamium 【1】】へ
  • 【若旦那の日常 【1】】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「FABLE」
Short

Epithalamium 【2】

 ←Epithalamium 【1】 →若旦那の日常 【1】
そして、巫女に問い掛けられたセシリア。彼女はスッと目を伏せると軽く頷いていた。それをみた巫女はホッと安堵の息をついている。


「それではこちらへ。あちらで沐浴とお召しかえをしていただきます」


そう言った巫女は有無を言わせずセシリアを別室に案内している。その彼女を見送った神竜は、ご愁傷様、とでもいいたげな表情を浮かべているのだった。


『まあ、お前さんなら大丈夫じゃて。いや、お前さんでないと無理じゃろうな』


神竜のその声を聞いている者は誰もいない。

そして、始祖王との対面。神々の託宣。この二つの関門をクリアしたことで、婚儀は次の段階へと進もうとしているのだった。



◇◆◇◆◇



巫女に案内された沐浴のための場。そこにズラッと控えている巫女やら見習い巫女の姿。それにセシリアは嫌な予感を覚えていた。

ここまでの人数が本当に必要なのだろうか、という思いがセシリアにはある。しかし、巫女たちはそんなセシリアの思いなど気にもしていない。彼女たちはセシリアが身につけていた巫女装束を脱がせると沐浴をさせているのだった。


「こちらにおいでくださいませ」


巫女に導かれたセシリアは、大きな姿見の前に立たされている。そして、そのかたわらにはこの日のために用意されたドレスや装身具がおいてあった。


「お時間がかかりますが、辛抱くださいませ」


さすがに花嫁の飾り付けをするのは巫女ではない。王太子妃となるセシリアには何人もの侍女がつけられている。その中の一人の声に、セシリアはかすかにため息をついていた。


「どうかなさいましたか? もう、黙っておられる必要はございません。何かありましたら、お声をおかけください」


侍女の声にセシリアは軽く首をふっている。今さら、何を言ってもこの婚礼が止まらないことは、彼女自身が一番わかっているのだろう。どうして、という思いが彼女の中ではどんどん大きくなっていた。

しかし、セシリアがそう思っていても、婚礼の準備が止まるわけではない。侍女たちはセシリアの髪を結い上げ、そこに飾りピンをさしている。体中によい香りの香油が塗りこまれ、白粉と紅で化粧されている。

セシリアが望んだのはこのようなことではなかっただろう。しかし、彼女が望まないにもかかわらず、花嫁として飾り付けられていく。鏡に映る自分の姿に、セシリアはかすかなため息をついていた。


「どうかなさいましたか」


彼女を飾り付けるのに夢中にはなっていても、そういった気配はわかるのだろう。侍女が着付けの手を止めてセシリアに問いかけていた。


「何でもないの。でも、私でいいの?」


返事を求めた言葉ではない。それでも、セシリアのその呟きに侍女はしっかりとこたえていた。


「当たり前でございましょう。今日という日を誰もが待ち焦がれておりました。ですから、そのようなお顔をなさるものではありません」

「私でかまわないのかしら?」


ポツリと呟く声。それは、よほど注意していないと聞こえないもの。しかし、それを聞いていた侍女はセシリアを励ますように微笑んでいた。


「大丈夫でございます。自信を持ってくださいませ。さ、お支度もできあがりました。巫女様方、あとはお願いいたします」


セシリアを飾り付けていた侍女の声。それを聞いた巫女たちが彼女を導くために近寄っている。


「お美しいですわ」

「おめでとうございます。神々の祝福は間違いございません」


花嫁衣装を身につけたセシリアに口々に賞賛の声をあげる巫女たち。中には思わず額ずく者もいる。それにはセシリア自身が驚いてしまっていた。


「やめて。私はそんなことをされることはないわ」

「いいえ。まさしく貴女様はこの国の未来の国母に相応しい御方です。私たちには貴女様のお持ちの品格がハッキリとみてとれます」


巫女の言葉にセシリアはどう言っていいのかわからない。それでも、白い花嫁衣装を身につけた彼女は冒すことのできない何かがあるのだろう。長々とヴェールを引き、花嫁のブーケを持った彼女は、導かれるままに祭壇の前へと進んでいるのだった。

ゆっくりと通路を歩いているセシリア。その彼女をみつめる多くの人々の目がある。そのすべてが祝福のものであることに、彼女はなかなか気がつくことがなかった。

そして、そんな彼女の前を同じようにゆっくり歩いているアルフリート。彼にしてみれば、この時というのは嬉しくもあり、無事に終わるのかという不安もあったのだろう。それを証明するように、その顔はかたく強張ってもいるようである。

そんな二人の後ろには誓約書と指輪を捧げた神官が続いている。そして、この式の司祭を勤める聖教皇の前でアルフリートとセシリアは額ずくとその言葉を待っているのだった。


「このたびの婚姻。神々と始祖王の異議はない。しかし、人の思いはどうであるのか」


高い天井の聖堂。その中を聖教皇ベネディクトゥス8世の声が響き渡っている。ここで物音を立てるのは異議があると表明すること。そのことは、この場にいる誰もが知っている。だからこそ、その場は水を打ったように静まり返っていた。


「アルフリート殿下。ハートヴィル侯爵令嬢。お二方に異議はございませんな。沈黙をもって婚姻の成立を宣言する」


聖教皇の言葉に反対する声も物音も聞こえない。ただ、絶え間なく鳴り響く鐘の音だけ。そして、そんな様子をみていた聖教皇は神官が捧げている誓約書を手元に引き寄せていた。


「それでは、こちらにサインを。これにより侯爵令嬢は、グローリア王家の一員として神々の祝福を受けられます」


差し出されている誓約書。それにアルフリートとセシリアが順にサインをする。それを見届けた聖教皇は、重々しい声で婚姻の成立を宣言していた。


「世界を創られた創世神。グローリア代々の御霊。そして、この場に集うすべての人々。それらの承認のもと、この婚姻の成立を宣言する。今よりの異議は一切、認めることはない。王家に祝福あれ」


聖教皇の声に鐘の音がひときわ大きくなる。それは、外にいる人々に婚姻の成立を伝える役割もあるのだろう。それまで静かだった空気が一気に熱を帯びたものに変わったような感じがする。

そして、それは聖堂の中でも同じこと。それまでの沈黙が嘘のように、歓呼の声が湧き上がっている。そんな中、アルフリートはセシリアにそっと囁いているのだった。


「この場でもう一度誓う。君を一生涯、愛し守り続ける。決して嘘ではないと信じてほしい」


その言葉と共にアルフリートはセシリアに指輪をはめている。それは、永遠の愛を誓う形でもある。それを受けとらざるをえないとしかいえないセシリアはどこか複雑な表情を浮かべていた。それでも、彼女の顔にはどこか吹っ切れたような色がないわけでもない。


「お受けいたしましたわ。でも、この誓いは守ってくださいませ。もし、破られたらその時は……」

「その時は?」


セシリアが何を言うかと思っているアルフリート。その彼に彼女はそっと囁いているのだった。


「私はあなたを許しませんわ。そのことは覚えていてくださいませ」


そう囁くと彼女は周りの歓呼の声にこたえている。それは、セシリアが自分の未来を決めた時だったのだろう。



~Fin~







総もくじ 3kaku_s_L.png FABLE
総もくじ 3kaku_s_L.png DIVA
総もくじ 3kaku_s_L.png AFFAIR
総もくじ 3kaku_s_L.png Sketch
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png MAP
もくじ  3kaku_s_L.png CRYSTAL
総もくじ  3kaku_s_L.png FABLE
もくじ  3kaku_s_L.png FATE
総もくじ  3kaku_s_L.png DIVA
総もくじ  3kaku_s_L.png AFFAIR
もくじ  3kaku_s_L.png Kingdom
もくじ  3kaku_s_L.png 泡沫の虹
総もくじ  3kaku_s_L.png Sketch
もくじ  3kaku_s_L.png Odai
  • 【Epithalamium 【1】】へ
  • 【若旦那の日常 【1】】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【Epithalamium 【1】】へ
  • 【若旦那の日常 【1】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。