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「FABLE」
Short

Epithalamium 【1】

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国中の鐘が鳴っているのではないか。

ようやく、迎えることのできた日の朝。アルフリートは絶え間なく鳴り響く鐘の音で目を醒ますとそう思っていた。

今日は朝早くから儀式がたくさんある。しかし、それを苦痛と思う気持ちなど彼にはまったくないといえるのだった。なんといっても、今日の日というのを一日千秋の思いで待っていたのである。アルフリートは儀式の先導に訪れる相手を心待ちにしているのだった。


「殿下、ご用意はよろしいでしょうか」


ゆっくりと扉が開かれ、儀式の先導たる宰相が姿をみせている。その姿にアルフリートは鷹揚に頷いていた。


「用意とはいっても、大したことはないだろう。先祖に挨拶をして、礼服を着るだけだろう」

「たしかにそうではございます。しかし、順序というものがございます。まずは代々の王の霊廟に」

「わかっている」


宰相とそのように言葉を交わしている間に、アルフリートには白い質素な服が着せられている。それは、先祖を敬うということを態度でも示すべきことだからである。


「レックス、先祖がこの結婚をダメだということはあるだろうか」

「そればかりは、私めではなんとも答えられません。しかし、そのようなことはありませんでしょう。神々も先祖もこの婚姻は喜んでおられるはずです」

「だといいんだがな」


どことなく自信のないアルフリートの様子。そんな彼にレックスは呆れたような顔をしているのだった。


「そのような顔ではダメかもしれませんな」

「レックス!」


アルフリートの声は引きつり、うわずっている。彼にすれば、ここでダメだと言われたら生きていけないと思っているのだろう。そんなアルフリートにレックスはため息をつきながらこたえている。


「いずれ、ご即位なさる時もご先祖のお声を聞かねばならないのですぞ。今からこのようなことでは、先が思いやられます」


レックスの声にアルフリートは思わず首を垂れている。そんな彼をみていたレックスはこのようなことを続けていては時間がなくなると思ったのだろう。アルフリートの支度ができたのを確認すると先導するように歩き始めている。


「殿下、お時間がございません。花嫁は神々との対面を済まされておる頃です。遅れてはなりません」

「そ、そうだな。それはそうと、神々といえば、聖教皇もおみえになっていたな。うん。それならば先祖がダメだと言うはずはないな」


今回の式の司祭を勤めるのは聖教皇であるベネディクトゥス8世。その聖教皇がすでに王城に到着していることを思い出したアルフリートは、ようやく安心したような顔をしているのだった。


「では、これより一言も口をきかれてはなりませんぞ。わかっておられますな」

「わかっている」


ゆっくりと歩いているうちに二人は、霊廟の前にまで来ていたのだ。レックスはアルフリートにそう言っている。そこへやって来た神官はアルフリートに恭しく一礼する。そして、重々しい口調で問い掛けているのだった。


「アルフリート様、代々の御霊とのご対面のお覚悟はできておりますか」


その問い掛けに彼は大きく頷いている。それをみた神官は道をあけ、導きの言葉を口にしていた。


「それではこちらへ。御霊がこの婚儀を承諾せぬ時はその場ですべての儀式を取りやめさせていただきます」


神官の声に思わず何かを言いたそうにしているアルフリート。しかし、ここで口を開けば何もかもが終わりだということもわかっている。彼は口を一文字に閉じると代々の王の霊廟へと入っているのだった。

その場の空気はヒンヤリとしている。そして、国の礎をつくり、育ててきた代々の王の存在を感じるのだろう。さしものアルフリートも真剣な面持ちでいる。

やがて、神官に導かれて彼が立ったのは始祖の王の廟。とりたてて変わったことは起こらなかったが、何か暖かいものを感じたという表情をアルフリートは浮かべていた。それをみた神官は一様にホッとしたような声をあげている。


「始祖王はこの婚姻を認められました。あちらにて沐浴とお召しかえを」


神官のその言葉に、アルフリートは安心すると同時に緊張も感じていた。それは、これから始まることが国をあげての祝賀であることを彼が実感した時だったからだろう。

そして、アルフリートが歴代の王の霊廟に参っているその時。

花嫁であるセシリアは神々からの託宣の時を迎えていた。もっとも、それを告げるのが神竜である、とわかった時の彼女の表情は複雑なものでもあった。


「どうして、あなたがここにいるのかしら」

『お前も変わらんのぉ。儂のことは覚えておるじゃろうに』

「覚えているから、そう言っているのですわ。それよりも託宣ですか? この婚姻は認めないとかいうのがあればいいんですが」

『それはありえんじゃろう。これはあくまでも形だけのものじゃ』

「では、何のためにこんなことがあるんですか!」


ノホホンとした神竜の態度に、思わず語気を荒げているセシリア。しかし、相手はそのことを気にもしていないようだった。前足の爪で顎をポリポリ掻く姿は、神聖なものに見えるはずもない。


『これは、どうしても逃れたい時の最後の手段じゃからの。しかし、今回はそれもできぬことじゃ』

「どうしてですの」


大体のわけはわかっている。それでも、セシリアはそれをきこうとしていた。そんな彼女に神竜はのんびりした調子で答えている。


『今回の司祭は聖教皇じゃろう。あやつがここまで来て、中止にできるはずもなかろうて』

「エロ親父だとばらしてやろうかしら」


ポツリと呟く声。そして、剣呑な光がその瞳には浮かんでいる。そんなセシリアに神竜は諭すような調子で声をかけていた。


『そんなことはするもんじゃない。お前が困るだけじゃぞ』

「わかっているわ」


先ほどまでの毒を含んだ勢いが嘘のように大人しくなっているセシリア。彼女とて、そのようなことができるとは思ってもいない。ただ、顔なじみの相手に会ったことで、愚痴をこぼしたくなったのだろう。


『儂が保証してやろう。お前は間違いなく幸せになれる』

「あなたの御墨付きって信用できないわね」

『まったく……年寄りは敬うものじゃとあの時も言ったじゃろうが』


神竜の言葉にセシリアは返事をしようとはしない。彼女は最後に神竜を軽く睨みつけると、その場から離れている巫女を呼ぼうとしていた。


『どうするつもりじゃ』

「どうするもこうするも、私ができる返事は一つでしょう?」


セシリアがそう言い切った時。彼女の案内役である巫女が静かにその場にやってきていた。それをみた神竜は、先ほどまでの飄々とした雰囲気を感じさせないようにしている。


「神々からの託宣はお受けになられましたか」


巫女の問いかけにセシリアは静かに頷いている。そんな彼女に巫女は引き続いて訊ねていた。


「神の代理でもある神竜様は、この婚姻をよしとおっしゃられましたか」


部屋の中で威儀を正している神竜とその前に静かにたたずむセシリア。その様子をみれば、返事はわかるというものだろう。それでも、これは決まりごとでもある。



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