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 ←決断と決意 【3】 →Valentine's battle
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「FABLE」
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酒乱のススメ

 ←決断と決意 【3】 →Valentine's battle
その日もグローリア王城では、ある集まりが開かれようとしていた。そこは、ハートヴィル侯爵令嬢たるセシリアの部屋。

どうして、そこが会場となるのか。それには、切実ともいえる理由がある。

集まりの建前は『傍若無人なカルロスに悩まされるウィアを慰める』こと。しかし、それはあくまでも建前。

この集まりを仕切っているミスティリーナにすれば、集まる口実さえあればいいのだった。恒例となりつつあるこれに参加するのはウィアとセシリアにジャスティン。そして、仕切り人でもあるミスティリーナが参加するのは当然のことでもある。

だが、集まる理由が理由。会場は、騒いでも誰からも咎められない所がいい。ということで、常にセシリアの居室が使用されているのだった。

この会の発起人はセシリアではない。しかし、彼女自身も楽しんでいるのは事実。そのため、嫌な顔をするはずもない。


そして――


その日も彼女はミスティリーナから連絡を受けると、準備にいそしんでいるのだった。


「セシリア、いつも悪いな」


言葉でこそそう言っている。しかし、悪びれた様子もみせずに入ってくるジャスティン。そんな彼の様子に、セシリアは思わず笑い出していた。

もっとも、ジャスティンはそんなことを気にもしていない。彼は入ってくるなり、テーブルの上に用意されているものを見ると、喜びの声をあげているのだった。


「おい。今日は珍しいものを用意しているじゃないか」

「今日はもう予定もないでしょう。だからよ」


そう言いながら、セシリアはテーブルにグラスを手早く置いている。普段であれば紅茶で、と思っている彼女。しかし、たまにはカクテルもいいだろうと考えているのだった。

幸いなことに今日はこのあとこれといった予定があるわけではない。最近、出入りの商人から手に入れたちょっと珍しいカクテルがある。そのことを思い出したセシリアは、今回はそれを出すことにしたのだった。

そして、酒を飲むのが大好きというジャスティンに異論のあるはずもない。彼は思わずにんまりした顔で席についているのだった。そうしている間にも残りのメンバーもやってきている。その二人もセシリアが用意したカクテルに驚きながらも、特に抗議の声はあげないようだった。


「ねえ、リア。これってお酒なの」


見た目がジュースにしかみえないそれ。本当に酒なのかと、ミスティリーナは不思議そうな声をだしている。そんな彼女の様子にセシリアはクスクス笑っているのだった。


「そうよ。これはオレンジから作ったお酒なの。珍しいし、たまにはいいんじゃないかしら。果物からつくったお酒だから、飲みやすいはずだし」

「ふーん」


セシリアの言葉に安心したのか、それともオレンジから作ったというのに興味を持ったのか。ミスティリーナはグラスに注いだそれを一気に飲み干している。


「おいしいじゃない。こんなの飲んだの初めてだけど、いけるわ」


そう言うなり、ミスティリーナは自分でおかわりをグラスに注いでいる。そんな彼女の様子を見た他の三人も、思い思いに飲み始める。そうなると、そこは恒例となりつつある愚痴大会が花を咲かせているのだった。


「おう、ウィア。そっちの大将は本気で婿入りするつもりなのか」

「そのようですね。もう国元に、そのつもりだと連絡したようですし」

「それはそっちの勝手っていったらなんだが、苦労するんじゃないのか。ほら、例のシスコンもいることだし……」


そう言いかけたジャスティンは、ウィアの背後の様子に気がつくと思わずまじまじと見ている。そんな彼の視線を感じたウィアは、何があったのかという表情を浮かべていた。

その彼の耳に「キャハハ」という笑い声が聞こえたような気が。おまけに背中が重いような感じもする。

おそるおそる首を後ろにまわしたウィア。彼は、自分の背中にピッタリとはりついているミスティリーナの姿に、すっかり驚いてしまっていた。


「え、えっとー」


驚きのあまりに声も出すことができなくなっているウィア。そんな彼に、猫がゴロニャンと喉をならすようにしてすり寄っているミスティリーナ。


「ねえ、ウィアも飲まない。これ、おいしいわよ」

「そ、そうですか」


思わず彼女の手からグラスを受け取り口にしているウィア。しかし、困惑の表情は隠すことができない。そんな彼に、ミスティリーナはいかにも楽しげに話しかけているのだった。


「ウィアも苦労するわよねー。だって、あのとおりの相手だもんねー」


どこか呂律がまわっていない調子で喋っているミスティリーナ。その合間には「キャハハ」とも「キャラキャラ」ともいいがたい笑い声がもれなく加わっている。

そんな彼女に背後霊のごとくひっつかれたウィア。彼は適当に相槌をうつことで、ミスティリーナが離れてくれないだろうかと期待しているようだった。

しかし、今のミスティリーナは完全にウィアに懐いた状態。その彼女がおいそれと離れる様子はない。それどころか、彼の膝に乗ろうとまでしているのだった。


「ねえ、ジャスティン。あのままにしておいていいの」


ウィアは必要以上にミスティリーナにひっつかれ、酒をすすめられることに困りきっている。それをみかねたセシリアは、ジャスティンにそう言っていた。

しかし、訊ねられた方はどこ吹く風。ジャスティンは気にする必要はないと、ヒラヒラ手をふっているのだった。


「心配することないさ。そのうちに離れるって」


そう言うとジャスティンはチビリチビ酒に口をつけている。そんな彼の様子にセシリアはため息をつくしかないようだった。


「本当にかまわないの。ウィアが困っているじゃない。それにますます酷くなってるわよ」

「お前はそう言うが、あの状態じゃ離れないし離せないって。ほっとくしかないだろう」


そう。これは、あくまでも他人のこと。対岸の火事とばかりに言い切ったジャスティン。

彼はミスティリーナをウィアから引き離すのは不可能だ、とセシリアに言っている。もっとも、それは『絡み酒』の相手はご免こうむりたい、という本音がちらほら顔を出しているともいえることだったのだろう。

酒好きの彼にしてみれば飲んで絡んでくる酔っ払いの相手をしながら飲むのは、酒を飲む楽しみが半減してしまうということもある。それならば、今のままウィア一人を犠牲者にすればいい。そう簡単に考えていたのだった。


しかし、そうは問屋がおろさない。


気持ちよく飲んでいたジャスティンだが、自分の服をひっぱられる感覚にちょっと眉をひそめているのだった。


「セシリアか? 悪戯するんじゃない」

「リアじゃないもーん。あ、た、し、だもーん」


それと一緒に聞こえる「キャハハ」という笑い声。それを耳にした瞬間、ジャスティンはそれまでの楽しい気分が一気に吹き飛んだように顔面蒼白となっているのだった。

そんなジャスティンの様子など何のその。彼を新たな獲物と認識したミスティリーナが、ゴロニャンとすり寄ってくる。


「リアじゃなきゃダメ? そんなこと言わないでよー」


瞳をウルウルさせ、すりすりしてくるミスティリーナ。そんな彼女にジャスティンは目を白黒させるだけだった。

そして、そんな彼の視界に入ってきたセシリア。彼女は余りのことに、呆気にとられたような顔をしている。


そんなセシリアに何か言わないと気がすまない。


なんといっても、彼女はその場にいる中で唯一、ミスティリーナの引っ付き攻撃にあっていないのだ。その彼女に、ジャスティンの最大にまで達した怒りのボルテージが向けられていた。


「セシリア! こいつに二度と酒、飲ませるな!」


ミスティリーナにしがみつかれ、どことなく情けない格好でそう叫ぶジャスティン。


そんな彼にどうすればいいのかというような顔をむけているセシリア。


部屋の中にはミスティリーナになつかれ、困ってしまった男たち二人の叫び声だけが、むなしく響いているのだった。



~Fin~






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