スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←さまざまな思惑 【1】 →さまざまな思惑 【3】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png MAP
もくじ  3kaku_s_L.png CRYSTAL
総もくじ  3kaku_s_L.png FABLE
もくじ  3kaku_s_L.png FATE
総もくじ  3kaku_s_L.png DIVA
総もくじ  3kaku_s_L.png AFFAIR
もくじ  3kaku_s_L.png Kingdom
もくじ  3kaku_s_L.png 泡沫の虹
総もくじ  3kaku_s_L.png Sketch
もくじ  3kaku_s_L.png Odai
  • 【さまざまな思惑 【1】】へ
  • 【さまざまな思惑 【3】】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「DIVA」
呪歌と姫君

さまざまな思惑 【2】

 ←さまざまな思惑 【1】 →さまざまな思惑 【3】
「伯爵。もし、僕がギルドに報告するつもりなら、このことをこの場で話してはいません。僕は何があっても、アフル様を守ります。そのことをお話ししておきたかったのです」


そう告げるアリオンの表情には、迷う色など見受けられることができない。その姿を目にしたフェビアンは、感謝するようにアリオンの手を取ることしかできなかった。



◇◆◇◆◇



屋敷の中で、フェビアンとアリオンのそのような会話が交わされている頃。ギルドの長であるクロードは、久し振りに街を流して歩いていた。

ギルド長である彼がフラフラと街中を歩くことを、ギルドの長老たちは好まない。それでも、そんな長老たちの目をかいくぐってあちこちの酒場で商売することを、クロードはこよなく楽しんでいるのだった。


「クロード、久しぶりじゃないか」

「今日は、どこでやるんだい。後で、聞きに行くからさ」


街の人々は、クロードのことをよく知っているため、気軽に声をかけてくる。それに対して、調子よく応えながら、クロードはそぞろ歩きを楽しんでいた。

いつの間にかその足が、下町から貴族の屋敷が立ち並ぶ一角に入っている。そういえば、アリオンが住み込みで働いているザフィーラ家がこのあたりだった。そんなことを思っている彼の耳に、澄み切った少女の声が飛び込んできていた。


「いい声をしているな。うん、竪琴の腕もいい。たまには、女の子の詩人もいいかもしれないな」


ギルドが配下の詩人として抱えているのは大半が男。だが、こうやって少女の歌声を聞くと、これもまたいいと思うあたり、彼がとことんギルド長であるということを物語っている。

そんな彼の耳には、少女の声がいつまでも響いている。その音色に耳を傾けていた彼の眉がピクンと跳ね上がると、何かを確かめるように、あたりをキョロキョロと見まわしていた。


「まさかな……もし、そうだったらアリオンから報告があるはずだ」


少女の声が聞こえてくるのが、ザフィーラ家の敷地からだと気付いたクロードはそう呟いていた。この分では、一度アリオンを呼ばなくてはならない。そんな色がその顔には浮かんでいる。


「まったく……余計な仕事を増やすなっていうんだ。もっとも、これを聞いたのが俺でよかったのか? 年寄りどもなら、何をやらかすかわからないからな」


ぼやきとも取れそうな言葉を残し、クロードはそこから立ち去っている。だが、彼の耳から先ほどの歌声が離れないのも間違いない。

ギルドに戻った彼は、どこか渋い表情を浮かべて、アリオンを呼びだすように、と告げていた。その様子に、声をかけられた長老フレデリックが不思議な顔をする。


「クロード様、どうかなさいましたか。アリオンといえば、今はザフィーラ家に住み込みという形でおりますが、彼が何かしでかしましたか?」

「一々、お前に話さなければいけないか? とにかく、アリオンを呼べ。話はそれからだ」


普段のクロードであれば、そのように高圧的な言い方を、長老であるフレデリックに対してはしない。それだけ、ザフィーラ家の近くで彼が耳にした物が衝撃的だったともいえる。

そんなクロードの様子に肩をすくめるようにした長老は、「どうして儂が」とぶつくさ言いながら、クロードの言葉をザフィーラ家に伝えていた。

その彼の耳もクロードが捉えたものと同じものをつかまえている。その瞬間、フレデリックは一気に顔色を変えると、体を小刻みに震わせていた。


「まさか……まさか、ここで、これを聞くとは……」


そのまま、彼はその場から逃げ出したい思いに駆られている。だが、ギルド長の言葉を伝えるという使命感だけが、フレデリックをその場に踏みとどまらせていた。

なんとかして平静を取り繕う彼のもとに、不思議そうな表情を浮かべたアリオンがやってくる。そのアリオンに、長老はクロードからの言葉をぶっきらぼうに伝えていた。


「クロード様が、ですか?」


その言葉は、アリオンも予期していなかったのだろう。どうして、という表情がその顔に浮かぶが、フレデリックはその以上の言葉を口にすることはない。

彼はどこか冷めた視線で、アリオンの姿を見降ろしていた。その姿に、嫌な予感がアリオンの背中を走るが、そのことを問い掛けることはできない。

今の彼は、ギルド長の命令を受けることしかできないからだった。


「わかりました。それでは、明日にでもギルドの方に伺わせていただきます。それでも、よろしいでしょうか」

「今日中には無理か? 仮にも長であるクロード様からの呼び出しだぞ」

「そのことはわかっておりますが、すでに本日は予定が入っておりまして……」


その言葉が、逃げるための口実ではないか、ということを長老は疑っている。だが、彼自身も確かめたいことができたために、それ以上の追及をしようとはしない。

彼は仕方がないというような顔で、アリオンの言葉に頷いていた。


「仕方がないな。では、クロード様には儂の方からそう申し上げておく。その代り、明日の朝一番でギルドに出頭するように。わかったな」


威圧的なその姿に、アリオンはますます嫌な予感だけが大きくなる。だが、反論することはできない。

ギルド長の呼び出しにすぐに応じないということが、見方によってはギルドに楯ついていると思われることだからだ。今の彼は、長老の言葉に素直に頷くことしかできない。


「わかりました。よろしく、お願いいたします」


その声に、フレデリックは満足したような表情を浮かべる。たしかに、今すぐギルドに出頭しないのは問題かもしれないが、それでもこの呼び出し自体が急なもの。となると、アリオンが翌日の朝一番にギルドに出向くということは、考えられる最善のことだったからだ。


「うむ。それでは、儂はそのことをクロード様にお伝えしておく。必ず、明日の朝一番にギルドへ来るように。それを破るということは、ギルドに対する叛意だという風に思うからな」


フレデリックのその言葉に、アリオンはビクッと体を震わせつつ、承知したというように首を縦に振るしかできない。

彼にとって、今回のギルドからの呼び出しというものは、嫌な予感しか感じさせないもの。それでも、断るということができないのも事実。アリオンは、顔色を悪くしながらも、その言葉に頷くしかないのだった。



◇◆◇◆◇



そして、アリオンを震え上がらせたフレデリックは、ザフィーラ家を辞すると、ギルドの資料庫へと足を向けていた。彼自身が、どうしても確かめたいことがあったからだ。

しかし、そこにはすでに先客がいる。それが誰なのかわかった時、フレデリックは唖然とした表情を浮かべていた。


「クロード様、何をなさっているのですか」

「ん? ちょっと、気になることがあったからね。俺がここにいるのはおかしいのかい?」


フレデリックの問いかけに、どこかのほほんとした様子で応えるのはギルド長であるクロード。彼がここにいる理由というものを何となくわかっている長老は、どこか渋い表情を浮かべていた。


「普段は、滅多にここにこられないというのに、どうしたというんでしょうね」


その声に、皮肉な響きが込められていると感じたのだろう。クロードはムッとした表情を浮かべ、フレデリックに向き直っている。


「俺がここにいるのが悪いのかい? お前の言い方だとそんな風に思えるけどね」

「いくら、我々がお願いしても、滅多に資料庫においでにならない方が、何も言わないのにいらっしゃるのを見ると、おかしいと思ってしまいます」


その声に、クロードは何も言うことはない、というように肩をすくめている。その手に持たれている物が何か、ということをフレデリックは何とかして確かめたい。

いや、おそらく思っている物をクロードは持っている。そう思った彼は、どこか自信にあふれた様子でクロードに問い掛けていた。


「それはそうと、今、お持ちの物は呪歌歌いの家系図でしょうな。違いますか?」

「何を言い出すんだ」


フレデリックのその声に反論するクロードの声が、どこか裏返っている。いつもの彼とは、まるで違うその様子に、長老はほくそ笑むようにして近寄っていた。


「それでは、拝見しても問題ありませんな」


そう言って、グッとクロードに近寄ると、彼が持っている物に手を伸ばそうとする。長老とは言え、ギルドの長に対するその行為が褒められたものであるはずがない。クロードはキッと相手を睨みつけると大声をあげていた。


「誰がギルドの長だ。いつから、お前はそんなことができるようになった。分をわきまえろ!」


その声に、フレデリックはビクンとなったように手を隠す。それを見たクロードはため息をつきながら、言葉を続けていた。


「まったく……たまには俺にもギルドの長らしい仕事をさせろ」


その声に、フレデリックの顔色が心なしか明るくなる。だが、それを目にしたにも関わらず、クロードの態度は変わる気配もなかった。


「それはそうと、アリオンは来るんだな?」


その声に、フレデリックは報告すべきことを忘れていたことを焦るかのように、応えている。その姿に、クロードのため息はますます深くなっていた。


「で、あいつは今日、来るのか?」

「いえ、さすがにこの呼び出しが急でしたので……しかし、明日の朝一番に来るようにときつく言い渡してあります」

「そうか」


それっきり、そのことには興味をなくしたようにクロードはそう呟いている。そのまま、持っていた物に目を通していた彼は、思い出したようにフレデリックの顔を見つめていた。


「とにかく、アリオンが来れば、必ず俺のところに連れてこい。それと、調べ物がある。しばらく、誰も部屋に来るな」


そう言いきると、クロードは資料庫から出ようとする。その彼の袖を、フレデリックはがっちりと掴んでいた。


「何か用でもあるのか?」


普段であれば考えられないその態度に、クロードの眉がひそめられる。不機嫌そのものといえるその顔に、フレデリックは口早に言葉をかけていた。


「いえ、その資料をお持ちになられるのかと思いまして」

「お前もこれを見たかったのか?」




総もくじ 3kaku_s_L.png FABLE
総もくじ 3kaku_s_L.png DIVA
総もくじ 3kaku_s_L.png AFFAIR
総もくじ 3kaku_s_L.png Sketch
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png MAP
もくじ  3kaku_s_L.png CRYSTAL
総もくじ  3kaku_s_L.png FABLE
もくじ  3kaku_s_L.png FATE
総もくじ  3kaku_s_L.png DIVA
総もくじ  3kaku_s_L.png AFFAIR
もくじ  3kaku_s_L.png Kingdom
もくじ  3kaku_s_L.png 泡沫の虹
総もくじ  3kaku_s_L.png Sketch
もくじ  3kaku_s_L.png Odai
  • 【さまざまな思惑 【1】】へ
  • 【さまざまな思惑 【3】】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【さまざまな思惑 【1】】へ
  • 【さまざまな思惑 【3】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。