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「DIVA」
呪歌と姫君

プロローグ

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それは『奇跡の歌声』と呼ばれる。

様々な色を重ね合わせたような音の響きは、重苦しさを感じさせることがない。沢山の光が重なったような透明感のあるそれは、聞くものの心を惹きつけて離さない。

空を群れ飛ぶ小鳥の群れが、枝にとまって頭を垂れる。本来ならば高らかに歌うはずの彼らの口が固く閉ざされる。

そして、人を警戒するはずの森の動物たちが集まってくる。リスやウサギといった小動物とイタチやキツネが同じ場所でじっとしているその様は、まさしく『奇跡』の一言が相応しい。

そんな奇跡の歌声は、国の内外に響き渡る。

人を愛し、涙した慈愛の女神ファクリエル。彼女の加護篤き王国はその名を戴き、ファクリスと呼ばれている。

そのファクリスの都の片隅にある修道院。小さくはあるが由緒正しきそこで、ファクリエルに捧げる歌が奉納されようとしていた。

ゆったりとした白い服をまとった少女が人々の前に立つ。とりたてて装飾のないそれは、修道女が着ているものとは趣が異なっている。そして、彼女は高らかに声を上げていた。

聞くものを魅了する音が修道院の中に響く。まるで天上の音楽とでもいうような心地よい調べが人々の耳を打つ。

ファクリエル女神に捧げられるファクリエル讃歌。修道女たちが朝に夕に歌うそれと同じものであるはずなのに、少女の声は人々の心を捉えて離さない。

キラキラと輝く光が修道院の中を照らすように、少女の歌声は煌めき、あたりに響いていく。これこそ、まさしく奇跡の歌声といってもいいのだろう。人々は身じろぎもせずに少女の歌声に聞き入っていた。



◇◆◇◆◇



その歌は『悪魔の歌』とひそやかに囁かれる。

見渡す限りの草原に軍馬のいななく声が聞こえる。そして、剣と剣がぶつかり合う重々しい音がかぶさっている。

士気を鼓舞する鬨(とき)の声が響き渡る。それに呼応するように兵士の声とざわめく気配。

騎馬の駆ける音。兵士たちが丁々発止と渡り合う剣戟(けんげき)の音。それらはいつまでもやむことがなく草原を渡っていく。

そんな時、微かな音がその場に流れていた。剣のぶつかる音と気合を発する怒号が響く中に似合うはずもない微かな竪琴の音と歌声。それを耳にした人々は一斉に顔色を失くしていた。

筋骨隆々とした男たちが焦ったような表情を浮かべている。彼らはなんとかしてその場から逃げだそうと浮足立っていた。

しかし、一気に動こうとしたために、その場は鼎(かなえ)の湧くような騒ぎになっている。上官である騎士を押しのけるようにして逃げようとする兵士。その足を怒鳴り声で止めようとする士官。

だが、その場に流れる寂しげな音が人々の動きを凍りつかせた。

喉をかきむしるようにして、その場にバタバタと倒れ込む男たち。鍛え上げられた彼らの命を奪ったものが剣でないのは一目瞭然。彼らは、剣を抜くこともなく、己の首を絞めているのだ。

もしくは何とかして音を聞くまいと耳を塞ぐ者もいる。だが、流れる音は容赦なく人々を襲い、暴れまわる。後に残ったのは、戦の場には不似合いな竪琴を持った華奢な姿。

その口から流れる歌は、どこか寂しげな響きを含み、人々の倒れた上を流れていっていた。



◇◆◇◆◇



女神はただ、憂いだけを覚えていた。

彼女が愛するものは争いを繰り返すのみ。

それを止める時が来るのだろうかと思っていても、彼女の望みが叶う時はないようにみえる。

どうすればいいのだろうかと、彼女は嘆くことしかできない。争いを止める方法を思い描いてみても、彼女の愛する存在がそれを止める時がくるようにはみえない。

今では彼女の同胞は全てを諦め、別の次元へと旅立っている。彼女もそうすればいいというのに、どうしてもそれをすることができない。

それは、それだけその存在のことを愛しているからに他ならない。

しかし、女神のそんな思いを感じることができないように、その存在は争いを続けている。

女神の憂いと涙はとどまることがない。それでも、彼女は諦めることができない。

できないからこそ、少しでも望みがあるのではないかと期待し続ける。

世界は光で溢れている。だというのに、どうして争いをやめないのか。

この思いだけが女神の心をさいなんでいく。

嘆いても、嘆いても状況が変わることはないというのに、彼女の嘆きは深くなっていくのみ。

それでも、女神は諦めることをしようとはしない。

嘆きの涙と憂いの闇が広がっていても、彼女は『人』という存在を心から愛し続けている。







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