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【  2014年07月  】 

新しい生活へ 【1】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 新学期早々に知らされた事実は簡単に信じることができない。というより、受け入れるだけの柔軟性がある方がおかしいのではないかと亜紀は思っている。しかし、ここで忘れてはいけないのは、今の彼女が受験生だということ。つまり、どれほど破天荒なことを知らされたとはいっても、そのことばかりを考えているわけにはいかない。受験戦争という現実を打破するために、亜紀はセッセと勉強に励んでいるといえるのだった。そして、今日...全文を読む

新しい生活へ 【2】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 なにしろ、おかしなことばかりが発生しているのだ。家の前に止まっているのは、見たこともないような高級車。カッコいいという言葉しか出てこないような相手が亜紀のことを『お嬢様』と呼びかける。これらのことに気が付いているはずなのに、無視を決め込もうとしている母親。そういえば、お母さんってのんびりしたところもあるけど、ある意味で最強だった。そんなことを思い出した亜紀はガックリとうなだれることしかできない。そ...全文を読む

新しい生活へ 【3】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 「夏実の言いたいこと分かるよ。由紀子ちゃん、驚くことばかりだろうけど、ここは一緒にいてくれないかな? その方が亜紀も安心するだろうし」伸吾のその言葉に由紀子は諦めるしかないということを察したのだろう。しっかりと服の裾を握る亜紀の手をゆっくりと外しながら彼女の横に腰かけている。その姿に安心したようにホッと息をつく亜紀。夏実はというと竹原の手元を興味津々という目でみつめている。やがて、カチャカチャと陶...全文を読む

新しい生活へ 【4】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 「どうして『引き取った』ではなく、『預かった』なの? こういう場合って普通は引き取るっていうんじゃないの?」死んだといわれているのは見たこともない相手だが、美鈴は亜紀の実の母親らしい。となれば、その相手を『死んだ』という表現で済ませることは友人思いの由紀子にとっては心が痛い。だが、そう思っていては話が進まない。そのことに気が付いている彼女は、顔を歪ませながらも話を続けていた。そんな彼女の様子に、竹...全文を読む

新しい生活へ 【5】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 そう言われることは、なんとなく予想していた。それでも、実際に耳にしてしまうと気分は果てしなく落ち込む。どこかでガーンという音が響いたような気持ちになった亜紀は、ぼんやりとつぶやくだけ。そんな彼女を励ますかのように、夏実が声をかけてくる。「亜紀の気持ちも分かるわよ。でも、このことであなたのことを忘れるわけじゃないし、娘だと思わなくなるわけじゃない。それに、由紀子ちゃんにもちゃんと説明しているのよ。そ...全文を読む

新しい生活へ 【6】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 この場ではこう返事をすることしかできない。そんなことを思っている亜紀は、ポツリとつぶやくと雅弥に導かれるようにして扉を開いていた。そんな彼女の目の前に広がるのは、それまでの常識からはかけ離れた世界。ホールのように天井の高い場所は歩くと靴音が響いていく。そのことに居心地の悪さを感じる亜紀の前に、若い男性が姿をみせていた。「亜紀ちゃん? 君が亜紀ちゃんだね? やっぱり、思ったとおり可愛らしい!」そう言...全文を読む

新しい生活へ 【7】

たとえ、これが恋だとしても・第Ⅰ部

2014.07.10 (Thu)

 彼の言葉に亜紀の記憶のどこかが刺激されている。そのままゆっくりと目の前にいる相手の顔をみつめた亜紀。その時、彼女はこの相手に会ったことがある、ということを思い出していた。「えっと……名前は覚えてないですけど、会ったことありますよね? たしか、そこってバラのアーチがあったと思ったんだけど……」亜紀のその声に相手はすっかり嬉しそうな顔になっている。そのまま彼は亜紀に抱きつきかねない勢いで近寄ってきた。「覚...全文を読む

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