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【  2014年02月  】 

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詩人の恋

短編集

2014.02.01 (Sat)

 吟遊詩人でありながら、商売道具ともいえる竪琴も持たずに、アリオンは街を歩いていた。その目的地は一軒の酒場。吟遊詩人としてではなく、通りすがりの客の顔をして彼は酒場の前までやってきていた。その中からかすかに聞こえてくる、心を惹きつけられるメロディー。やっぱりアイツはいる。そんな安心した顔で、アリオンは店の中に入っていった。「よ、マスター。繁盛してるね。悪いけど、レオン借りるよ。そうだな……ちょっとやや...全文を読む

それぞれの道 【1】

短編集

2014.02.01 (Sat)

 「これ以上、お話しすることはないでしょう。お引取りを」「伯爵、そのようにおっしゃられるものではありませんでしょう。これは重大な問題であることだということをお分かりではないのですか」「あなた方のおっしゃることの意味はわかっています。しかし、答えが変わるはずがないのですから、お引取りいただきたい」そういうなり、それ以上の話は無駄といわんばかりに席を立つ男の様子に、相手も渋々ながら席を立つしかない。しか...全文を読む

それぞれの道 【2】

短編集

2014.02.01 (Sat)

 その日、アフルはいつもよりも早めに床についていた。別にこれといった理由があるわけでもないのだが、なんとなく気分がすぐれないような気がしていたというのが理由だったのかもしれない。アリオンと話をしていれば気が紛れるといえばそうなのだが、だからといって夜遅くまで彼を引き止める理由もないと彼女は思っているようだった。そして、その日は両親ともに夜会に招待されていて帰宅が遅くなるのもあらかじめわかっていたこと...全文を読む

呪歌と姫君 【1】

短編集

2014.02.01 (Sat)

 今の彼女の生活。それを人は『不幸』というのだろう。しかし、それは決め付けられることではない。なぜなら、幸か不幸かを決めるのは他人ではない。それは、あくまでも本人が決めること。たしかに、かつての彼女は絹とレースで彩られていた。しかし、今の彼女が纏うもの。それは、絹でもレースでもない。飾りも何もない、質素で実用的な修道服。「アフル。どうして、そんな道を選んだの」まるで、彼女が選んだことを否定するような...全文を読む

呪歌と姫君 【2】

短編集

2014.02.01 (Sat)

 このところ、吟遊詩人のギルドと主の間が険悪になっている。そのことを彼らは敏感に感じていた。そして、それがアフルを巡るものであることにも、彼らは気が付いていたのだ。もっとも、それはアフルの竪琴の教師であるアリオンから、それとなく聞いていたからかもしれない。しかし、誰もそのことでアフルを疎ましくなど思っていない。ギルドの申し入れを受け入れれば、彼女が屋敷からいなくなる。その方が、彼らにとっては我慢でき...全文を読む

プロローグ

呪歌と姫君

2014.02.02 (Sun)

 それは『奇跡の歌声』と呼ばれる。様々な色を重ね合わせたような音の響きは、重苦しさを感じさせることがない。沢山の光が重なったような透明感のあるそれは、聞くものの心を惹きつけて離さない。空を群れ飛ぶ小鳥の群れが、枝にとまって頭を垂れる。本来ならば高らかに歌うはずの彼らの口が固く閉ざされる。そして、人を警戒するはずの森の動物たちが集まってくる。リスやウサギといった小動物とイタチやキツネが同じ場所でじっと...全文を読む

午後のお茶会 【1】

呪歌と姫君

2014.02.02 (Sun)

 その日、ギルド長であるクロードに呼び出されたアリオンは、不安を隠せない表情で廊下を歩いていた。つい先日、独り立ちしたばかりの新米詩人である彼にギルド長から声がかかる。それは致命的な失敗を意味しているのではないか、という思いだけが彼の内にはある。ここ数日の仕事の内容を思い出しながら歩いていたアリオンは、どうすればいいのかわからなくなっていた。明るい茶色の髪が不安そうに揺れ、薄茶の瞳は何かを警戒する子...全文を読む

午後のお茶会 【2】

呪歌と姫君

2014.02.02 (Sun)

 「まったく、お前と話していたら悩んでいたのが馬鹿らしいじゃないか。まあ、明日のことを今から悩んでいても仕方がないからな」「そうだろう? ともかく、今回はお前一人で行くのは決まったことかもしれないが、今度そんな話が出た時は、絶対に俺の名前も出してくれよ」真剣な顔でそう訴えかけるランスの姿にアリオンは大きく頷きながら笑っている。その彼の表情からは、先ほどまで浮かんでの悩んだような表情は、すっかり影をひ...全文を読む

午後のお茶会 【3】

呪歌と姫君

2014.02.02 (Sun)

 「ねえ、アリオン。私も竪琴って弾けるのかしら?」「アフル様がですか?」突然、アフルの口からそのような言葉が出たことに、アリオンは驚いたような表情を浮かべている。そして、彼女にそのようなことをさせてもいいのかと伺いを立てるような顔で、フェビアンとシュゼットの顔を見ていた。その表情はそれまで自信に満ちたものとは違う、どこかおどおどとしたもの。それに気がついたフェビアンは鷹揚に構えると、ゆったりとした口...全文を読む

詩人の恋 【1】

呪歌と姫君

2014.02.03 (Mon)

 気持ちのよい朝日が差し込む中、アリオンは再びザフィーラ家の門の前に立っていた。その姿は先日、この屋敷にやってきた時の彼とは違う。屋敷の令嬢であるアフルの誕生祝に呼ばれていたあの時は、吟遊詩人ということが一目でわかるように、竪琴を小脇に抱えていた。しかし、今日からの彼は10歳になったアフルの家庭教師として招かれている。そうやって立場が変わったことを示すように、彼は竪琴を荷物の中に入れた状態でやってきて...全文を読む

詩人の恋 【2】

呪歌と姫君

2014.02.03 (Mon)

 すっかり拗ねたようになったアフルは、投げやりな調子でそう言いながら、アリオンの様子をうかがっている。それをみたアリオンは、笑いをこらえることができなくなっていた。「アフル様。そんな顔をなさらずに。可愛らしい顔が台無しですよ。また、夜になったら一緒に竪琴の練習をしましょう」「わかったわ。約束よ」そう言ったアフルは、アリオンに小指を差し出している。約束を求める子供らしい仕草に、彼は視線を彼女の目の位置...全文を読む

詩人の恋 【3】

呪歌と姫君

2014.02.03 (Mon)

 どこか思わせぶりなアリオンの言葉に、ランスはちょっと不機嫌な表情になっている。そんなランスの姿に気が付いているはずなのに、それ以上のことは何も口にしないアリオン。やがて、2人は屋敷の奥まった位置にある庭に足を踏み入れていた。そこは、アフルが好んで竪琴の練習をする場所。今も、一人で練習している彼女の姿をみつけたアリオンは、ランスに声をかけていた。「ランス、今から聞こえる歌をよく聞いてほしいんだ」「そ...全文を読む

さまざまな思惑 【1】

呪歌と姫君

2014.02.04 (Tue)

 ランスからアフルの持つ力のことを知らされた翌日、アリオンは思い切ってザフィーラ伯フェビアンと話をしてみようと思っていた。アフルの力のことがいつまでも隠しきれないのは、吟遊詩人のギルドに所属するアリオンには簡単にわかる。その時、ザフィーラ伯爵であるフェビアンがどこまで知っているかで防波堤になりうる。そのこともアリオンには自明の理ともいえることだった。「伯爵、ちょっと、よろしいでしょうか」ゆったりとし...全文を読む

さまざまな思惑 【2】

呪歌と姫君

2014.02.04 (Tue)

 「伯爵。もし、僕がギルドに報告するつもりなら、このことをこの場で話してはいません。僕は何があっても、アフル様を守ります。そのことをお話ししておきたかったのです」そう告げるアリオンの表情には、迷う色など見受けられることができない。その姿を目にしたフェビアンは、感謝するようにアリオンの手を取ることしかできなかった。◇◆◇◆◇屋敷の中で、フェビアンとアリオンのそのような会話が交わされている頃。ギルドの長であ...全文を読む

さまざまな思惑 【3】

呪歌と姫君

2014.02.04 (Tue)

 その問いかけに、フレデリックは応えようとはしない。それを見たクロードは肩をすくめると、何事もないような調子で言葉を続けていた。「とにかく、先に俺が見ていたから。用が済めば、元に戻しておく。お前が調べたいことがあるなら、その後でもいいだろう。それとも、それでは問題があるのか?」ギルドの長であるクロードのその言葉に、長老であっても逆らえるはずがない。彼は口の中で「大丈夫です」と小さく呟くことしかできな...全文を読む

呪歌顕現-ジュカケンゲン- 【1】

呪歌と姫君

2014.02.05 (Wed)

 「これ以上、話すことはない。さっさと帰ってもらえないか」苛立ちを含んだ声が、部屋の中に響いていた。そこは、穏やかな日の光が差し込んでいるザフィーラ伯爵邸の一室。しかし、そこに漂う雰囲気は険悪なものとしか言いようがなかった。「お言葉を返すようですが、ご令嬢をこのままにしておくことは、この上もなく危険なこと。そのことが、伯爵にはお分かりではないのですか?」吟遊詩人ギルドの長老である、フレデリックの声。...全文を読む

呪歌顕現-ジュカケンゲン- 【2】

呪歌と姫君

2014.02.05 (Wed)

 「アリオン、ちょっと今は、わたしに付き合ってもらえないかな?」◇◆◇◆◇「なによ、アリオンの馬鹿。なにも、ここに来てすぐ、お父様とお話ししなくてもいいじゃない」屋敷から庭に出たアフルは、誰もいないことをいいことに、そこらにある石を蹴り飛ばしている。貴族の令嬢として、淑やかにと言われ続けていることを考えれば、その姿はお行儀のいいものではない。それでも、彼女は自分の不満をぶつけるように庭の石をコンコン蹴飛...全文を読む

呪歌顕現-ジュカケンゲン- 【3】

呪歌と姫君

2014.02.05 (Wed)

 そう言うなり、ハイドは目の前においていた酒を一気に煽っている。そのまま、どんと勢いよく置いた盃に残りの酒を注ぐと、彼はフレデリックにグイッと突き出していた。「話を聞かせて貰おうじゃないか。もったいぶらずに全部、話しちまいな。俺に話をもってくるんだ。表に出せないことだっていうことは百も承知さ」その声に、フレデリックは差しだされた酒を一気に口にする。もっとも、喉を焼くような安酒に思わずむせかえることし...全文を読む

決断と決意 【1】

呪歌と姫君

2014.02.06 (Thu)

 その翌日、ファクリスの王都はどこか騒然とした空気に包まれていた。いや、これまでにも貴族や豪商の屋敷に押し込み強盗が入ったことは何度もあるし、今回の事件も珍しいというものではない。しかし、たった一人の犯人が屋敷の使用人も気づかれることなく侵入し、主人夫妻を惨殺したという事実に人々は震えあがったのだ。そして、取り押さえられ役人に引き渡される時にその犯人が叫んだ言葉が、人々により一層の恐怖感を与えている...全文を読む

決断と決意 【2】

呪歌と姫君

2014.02.06 (Thu)

 どこか凄味のある声がフレデリックの耳を抉っていく。今まで、彼のこういう面がでてきたことは殆どない。それだけに、フレデリックはクロードのことを穏やかでどちらかと言えば組みしやすい相手、だと思っていたのだ。しかし、それはあくまでも表面上の物。本来のクロードの性格は、どちらかというと激烈ともいえるものだ、ということを今のフレデリックは身を持って感じている。しかし、ここで引き下がるわけにもいかない。彼は冷...全文を読む

決断と決意 【3】

呪歌と姫君

2014.02.06 (Thu)

 フレデリックがクロードの糾弾を受け、長老の地位を剥奪されたのと同じ頃。ザフィーラ伯邸では、どこか重苦しい空気が流れていた。昨夜の惨劇の後は、すでに綺麗に洗い流されていた。また、フェビアンとシュゼットの遺体も清められ、棺に納められている。間もなく彼らの葬儀が盛大に執り行われるのは間違いない。そんな中、アフルが呪歌を暴走させたことで傷んだ窓や花瓶などは取り払われ、何事もなかったかのような状態になってい...全文を読む

酒乱のススメ

Short

2014.02.07 (Fri)

 その日もグローリア王城では、ある集まりが開かれようとしていた。そこは、ハートヴィル侯爵令嬢たるセシリアの部屋。どうして、そこが会場となるのか。それには、切実ともいえる理由がある。集まりの建前は『傍若無人なカルロスに悩まされるウィアを慰める』こと。しかし、それはあくまでも建前。この集まりを仕切っているミスティリーナにすれば、集まる口実さえあればいいのだった。恒例となりつつあるこれに参加するのはウィア...全文を読む

Valentine's battle

Short

2014.02.07 (Fri)

   〔1〕灰の月。それは女の子にとって一番ワクワクするイベントのある月だろう。もっとも、灰の月は寒さの厳しい時期でもある。しかし、灰の月の声がきこえると、あたりからは甘い香りがどことなくただよってくる。そして、道を歩く女の子たち。彼女たちも、どことなく浮き立つような表情をしているのだった。「ねえ、もう用意できた?」「まだなの。もう時間もあまりないでしょう。手伝ってくれない?」「もちろんよ。それに一...全文を読む

結婚狂詩曲 【1】

Short

2014.02.08 (Sat)

 きちんと整備された石畳がのびている。その石畳を行き来するたくさんの荷車や馬車。それらは、賑やかなことで知られるグローリアの都を彩るものである。そんな賑やかな大通りを一台の馬車が走っていた。その馬車は、そこを走っている他のどれよりも豪華なもの。そのためだろう。それを目にした都の人々はポカンとした表情を浮かべ、どこの馬車だろうと噂しているのだった。そんな人々の声も聞こえないように、馬車は大通りから閑静...全文を読む

結婚狂詩曲 【2】

Short

2014.02.08 (Sat)

 彼が妹以外に興味をもったということ。それだけで、相手の地位も身分も問題にならない。もっとも、セシリアが相手であれば、そんな声が聞こえるはずもない。なぜなら、彼女は侯爵令嬢。そして、アルディスの話相手として宮廷に伺侯もしている。これは、考えられる最高の相手。そうなれば、どこにも問題があるはずがない。周りは諸手をあげて、このカップルが成立するのを待ち焦がれているのだった。そんな中、その事態をなんとかし...全文を読む

Epithalamium 【1】

Short

2014.02.08 (Sat)

 国中の鐘が鳴っているのではないか。ようやく、迎えることのできた日の朝。アルフリートは絶え間なく鳴り響く鐘の音で目を醒ますとそう思っていた。今日は朝早くから儀式がたくさんある。しかし、それを苦痛と思う気持ちなど彼にはまったくないといえるのだった。なんといっても、今日の日というのを一日千秋の思いで待っていたのである。アルフリートは儀式の先導に訪れる相手を心待ちにしているのだった。「殿下、ご用意はよろし...全文を読む

Epithalamium 【2】

Short

2014.02.08 (Sat)

 そして、巫女に問い掛けられたセシリア。彼女はスッと目を伏せると軽く頷いていた。それをみた巫女はホッと安堵の息をついている。「それではこちらへ。あちらで沐浴とお召しかえをしていただきます」そう言った巫女は有無を言わせずセシリアを別室に案内している。その彼女を見送った神竜は、ご愁傷様、とでもいいたげな表情を浮かべているのだった。『まあ、お前さんなら大丈夫じゃて。いや、お前さんでないと無理じゃろうな』神...全文を読む

若旦那の日常 【1】

Short

2014.02.09 (Sun)

 華やかなことで知られるグローリア。その国が、前にもまして華やかで賑やかな時を迎えようとしていた。その理由とは簡単なこと。先日、王太子であるアルフリートがハートヴィル侯爵令嬢であるセシリアを正妃として迎え入れた。そして、妹姫であるアルディスも婚約者との華燭の典が目前に迫っている。華やかにならない方がおかしいといえるだろう。そんな中。周囲にドヨンとした空気をまき散らしている人物が一人だけいるのだった。...全文を読む

若旦那の日常 【2】

Short

2014.02.09 (Sun)

 もっとも、そう言われたからといって引き下がるレックスではない。彼は持ってきた書類をセシリアに突き出すと、彼が危惧していることを滔々とまくしたてていた。「そうはおっしゃられますが、示しというものがございます。妃殿下は妃殿下であり、それ以外ではございません」「宰相様、たしかに表では私も辛抱します。しかし、奥は私の好きにさせてもらいます。どこにいっても妃殿下では、息が詰まります」レックスの迫力にセシリア...全文を読む

ある魔導師の選択

Short

2014.02.10 (Mon)

 ヴェネーレからグローリアへと続く街道はいろいろとある。その中の一つ。今では滅多に使う者のいない旧街道に珍しく人の気配がしていた。それは、青年という言葉が似合いそうな二人連れ。彼らは『寂れた』という表現がピッタリな街道を気にすることもなく進んでいるのだった。この街道は自由国境の村であるルディアを抜けてグローリアの王都に続いている。しかし、時の流れというものは残酷でもある。かつては賑わっていた街道も、...全文を読む

白の女王

Short

2014.02.10 (Mon)

 世界には名の知られた魔導師が何人かいる。その中でも一番有名な人物といえば、『グローリアのアリステア』だろう。風使いの一族の長でありながら、王家に仕える魔導師の統括をするように求められている。長の地位を娘に譲り、その任を受けた彼の実力は、誰もが認めるものだろう。そんな彼と同じように人々の口にのぼる名。それが『リンドベルグのゾフィー』彼女はアリステアのようにどこかのお抱えの魔導師というわけではない。し...全文を読む

Debutante

Short

2014.02.12 (Wed)

 銀の月。この時は社交界が一際、賑やかになる。理由は簡単。その年に社交界デビューする者たちのお披露目という意味合いがあるからだった。男であれば16歳。女は14歳を迎える年の銀の月。その最後の3日間は王宮の大広間で舞踏会が開かれる。これに招待されるのは一種のステータス。貴族の子弟は当然であるが、それ以外にも豪商やギルドの関係者など有力な者たちも招かれる。これは毎年の恒例行事である。しかし、今までそのような...全文を読む

二人でお茶を

Short

2014.02.14 (Fri)

 「テレーゼ、お茶でも飲まない?」自分に声をかけてきた相手。その顔をみたテレーゼは思わず目を丸くしていた。「私とお茶を飲むのは嫌かしら?」いつまでもテレーゼからの返事がない。そのことに、ちょっと不満げな声。それを聞いた彼女は、慌てて首をふっていた。「そんなことありません。でも、そんなお時間ありますの?」「大丈夫。あなたは気にしないでいいの」相手の声にテレーゼはようやく安心したようだった。ちょっと肩を...全文を読む

続・酒乱のススメ

Short

2014.02.14 (Fri)

 「ねえ、リア。きいてもいい?」「どうかしたの、リーナ」午後の昼下がり。取り立てて用事というものがなかったせいだろう。セシリアは、ミスティリーナの声に首をかしげながら答えていた。そんなセシリアの様子にミスティリーナも安心したのだろう。このところ、疑問に思っていることをぶつけているのだった。「このところ、ウィアやジャスティンの見る目がおかしいのよね。なんだか、あたしのことを避けているようにみえるのよ。...全文を読む

風と銀の輪 【1】

Short

2014.02.16 (Sun)

 サヤサヤと風が流れている。その風は木々を揺らし、水面を渡る。それはあくまでも自然の営み。しかし、それだけではないということをわかっている者たちがいることも間違いない。普通の人々は自然の中の出来事と思っていても、それ以外の意味を感じる人々がいる。そして、小川の岸辺にボンヤリとした表情で座っているアリアンロッドもそんな、常人とは違う人々の一員だったのだ。亜麻色の髪、青い瞳。それはどこにでもいる少女とい...全文を読む

風と銀の輪 【2】

Short

2014.02.16 (Sun)

 それは、彼女がアリステアの娘だというだけではない。アリアンロッドのもつ力の高さがそういう風に思われる一因だということをジェシカは知っているのだった。「だけど、あんた以外の誰が風の長と契約するっていうのよ」「ジェシカ……」彼女の言葉にどう反論すればいいのかわからないアリアンロッドはそう呟くしかない。その彼女の目には川の水面を飛ぶように遊んでいる風の精霊の姿が映っているのだった。「アリアン、どうかしたの...全文を読む

ある午後の日

Short

2014.02.21 (Fri)

 「アロン、どこにいるの?」明るい可愛らしい声があたりに響いていた。その声が呼んでいた相手はクスリと笑うとそれにこたえている。「こちらですよ、シンシア。どうかしましたか?」「アロン、捜したのよ。もうすぐ、ジョンとリンダが来る頃なのに」ちょっと拗ねたような顔をしているシンシアの様子にアロンは思わず笑いだしていた。そのことに彼女はますます拗ねてしまっている。口をとがらせ、プイッと横を向いている。それでも...全文を読む

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