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【  2014年01月  】 

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熱 【1】

泡沫の虹

2014.01.29 (Wed)

 その日、嘉兵衛は弥平次を連れて、得意先回りに精を出していた。 先日より、住み込みの手代として置いている弥平次が思ったよりも役に立つ。そのことに、嘉兵衛は心の中で喜んでいた。なにしろ、気の利いた手代が集まらない、と嘆いていたのが彼なのだ。やってきた経緯に問題があるかもしれないが、嘉兵衛の眼鏡に適ったあたりでそれも気にされなくなっている。 「腐っても鯛、とはこのことかな?」 思わず、そんな言...全文を読む

熱 【2】

泡沫の虹

2014.01.29 (Wed)

 そう言いたげな顔で腰を浮かしかける嘉兵衛を、清兵衛は穏やかな調子で引きとめていた。 「心配することはない。そのために、弥平次を迎えにやったのだからな」 清兵衛の声に、嘉兵衛は言葉を失っている。今まで、そういう時に糸を迎えに行く役目は自分だったのではないか。そう言いたげな光がその目には浮かんでいる。 「何か不満でもあるのかな? 番頭であるお前をいつも迎えに行かせていては、周りに示しがつか...全文を読む

涙 【1】

泡沫の虹

2014.01.29 (Wed)

 降りしきる雨の中、互いの思いを確認し合った糸と弥平次だが、それを隠しておかなければいけないことを二人はよく知っている。 たしかに、弥平次は扇屋という大店の息子だが、勘当状態で井筒屋に奉公している手代。そして、糸はその井筒屋の家付き娘。そんな二人の関係を父親である清兵衛が認めるはずがない。 それでも、若い二人は思いを抑えることができない。いつの間にか、二人は人目につかぬようにこっそりと逢引を繰り...全文を読む

涙 【2】

泡沫の虹

2014.01.29 (Wed)

 そう言うと、清兵衛は嘉兵衛の返事を待たずに、そのまま奥へと姿を消す。その彼の姿を見送った嘉兵衛の顔には、それまでの遠慮をしたものとは違う、満足しきった笑みが浮かんでいた。 「やっと、旦那さまもその気になられたか。本当に時間がかかった。だが、これで大手をふってお嬢さんを抱けるというものだ」 誰にも聞こえないように、こっそりと呟かれる言葉。そこからは、彼の欲望が如実に感じられる。今の彼は、夜に...全文を読む

壊 【1】

泡沫の虹

2014.01.29 (Wed)

 その次の日の朝、井筒屋の奥はちょっとした騒ぎになっていた。 「夜、お嬢さまはちゃんといらしたのね?」 女中頭の女の声が鋭くかけられる。それに対して、夕べの戸締りを見回った下女二人は、こくこくと頷くことしかできなかった。 「ねえ、あのことは言わなくてもいいわよね」 「うん。だって、あの時はちゃんといらしたんだし……」 夕べ、糸の部屋に誰かが忍んできていたことを話した方がいいかと、二人...全文を読む

壊 【2】

泡沫の虹

2014.01.29 (Wed)

 「一緒にいたのは、若い男の人でした。顔はよく見えませんでしたが、すらりとした姿のいい人で、その人と一緒にあちらの方に向かっていました」 そう言いながら婢が指し示す方向。そこにあるのが何か思い当った嘉兵衛の顔は、ようやく安堵の色が浮かびあがっていた。そんな彼に、胡蝶はしなだれるようにもたれかかる。 「旦那さま、少しはお役に立ちましたかしら」 嘉兵衛の表情を見ていると、それは間違いない。そ...全文を読む

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